「ゴールデンウィークは練習試合なので全日空けておくこと、間違っても絶対に出かけるんやないでー」



この言葉を軽くスルーしたことを、俺は相当後で後悔することになる。

四天宝寺テニス部は日曜でも国民の休日でもゴールデンウィークでも部活がある。笑いをモットーにしているには相当激しい練習内容なので、格好良いから入るという動機の奴らは仮入部の一日目で地獄をみることになる。初心者には厳しい部活だ。

そんな部活の監督、渡邊オサムはその性格から、他校の監督とも交友関係が深い。例だが、この間たまたま探し当ててしまったツイッターのフォロワーには青学、立海、氷帝等々の名前があった。そもそも榊さんがツイッターなんてやっていたのか。

そんなこんなでオサムちゃんはゴールデンウィーク、氷帝との練習試合を組んだ。






「今日の練習試合って何処となん?」



五月三日の昼前、練習試合相手の案内を仰せ付かった俺と謙也くんは、二人で学校の門の下で待機していた。



「知らんの? 今日はな、」



突如ヘリコプターの音が俺達の会話を妨害して、大事なとこを聞けなかった。もう一回、と言ったが聞こえているのだろうか。

というかヘリコプターって、まさか。



「あのヘリどうしたんやろ」



謙也くんがぼそりと呟くのを耳にして注意してヘリコプターを見ると、尾の部分に“ATOBE”とでかく描かれていた。
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