次の日、放課後に謙也くんのクラスを訪ねると、どうやら謙也くんは掃除だったらしい。先に行っててええで、と言われた俺は遠慮なくテニスコートに向かった。すまん、謙也くん。

向かうと、先輩方がにこにこしてコートに立っている。手招きされたのでコートの中に入ると、一際背の高い人が、俺の肩を強く叩いた。



「おっし、これで五人目!」

「え、あの、」



何度も強く叩くので痛い。

戸惑っていると、迷彩の帽子を被った人が話しかけてきた。



「自分、テニス経験者?」

「一応小三からやってますけど・・・」

「俺は部長の平善之って言うんや。ラケット持っとるみたいやし、打ってくか?」



迷彩帽子の平先輩は、ラケットをぶんぶんと勢いよく振り回した。
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