結局、3-1で四天宝寺の優勝で終わった。色々と心配はあったものの、これで一安心だ。私が白石になってる所為で、勝てた試合も敗北に終わるのは私の心臓に悪い。オサムちゃんが珍しく焼肉を奢ってくれるというので(どうやら先日給料日だったようだ)皆で喜んでいると、ふと俺達が騒いでいる少し向こうに橘さんの姿が見えた。……俺をじっと見つめてるんだが行った方が良いのか。

謙也くんに言付けて橘さんの方へ近寄ると、彼はすまないなと一言謝る。流石橘さん謝罪すらカッコいい、とは口に出さずにどうしたん、と言えば彼は少し気まずそうに口を開いた。


「……優勝おめでとう」

「へっ、あ、ありがとう?」

「矢張り四天宝寺の聖書は強かった。俺達も中々だと思っていたけど、驚いたよ。次やるときは、絶対に負けない」



そこまで言って、彼は一度息を吸いところでと切り出した。はて、彼の用事はこれだけではないのか。そう思って首を傾げるが、どうしてか、橘さんの纏う雰囲気が先ほどとは異なるそれで、思わず飲まれそうになり一歩下がった。



   君は、運命を信じるか」



運命。
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