焼肉屋の駐車場でスイカ割りをして、皆でむしゃむしゃとスイカを食べていると、横で同じように食べていた謙也くんは突然不自然にそわそわし出した。奇行を取る謙也くんに思わず白い目で見るが彼はそんなこと気にしてもいない。



「…白石、ありがとう」



礼を言われるようなことをした覚えが無くては、と思わず口に出して首を捻るが、そんな俺の様子を察したのか謙也くんはおそるおそる、といった具合にもう一度口を開いた。



「試合中のアレや。白石がああしてくれんかったら俺、ずっとうじうじ考えたままだったかもしれん。せやから、ありがとうやねん」
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