皆の用意も終わったので思わず一息つくと、一目あの三強の姿を拝んでおこうとちらりと反対側のスペースを見る。コート周辺に立っている有象無象の中にはとても色鮮やかな人達が居たが、その中には居なかった。

どこへ行ってしまったんだろう。きょろきょろ見回していると、傍でラケットを弄っていた財前は不審げに声を上げた。



「どないしたんですか部長、そんなして」

「え? ああ、噂の三強を探しとるんやけど」

「……それなら、あの人じゃないっすか」



財前が示した先にはかの有名な幸村がこちらを見ていた。視線を向けるとピンポイントでにこりと微笑まれたが、そのとき若干背筋が寒くなるのと、一瞬、彼の姿が前世の友人と被って見えたのでまさか、と思いつつも幸村から視線を外した。そんなに世界は狭く無いっちゅー話や。
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