三日目、空はよく晴れたテニス日和だ。準決勝の舞台に到着した俺達はいつも通り、元気よくはしゃいでいた。一部を除いて、だが。

その一部、というよりも一人の謙也くんは、ちらりと向かい側で準備をしている立海を見ては深く溜息を吐いていた。しつこい程に繰り返すので、他のメンバーの士気を落とさない為にも俺は謙也くんに話しかけたのだが…



「け、謙也くん、大丈夫?」

「ああ白石か。……そういや聞きたいこと有るんやけど」

「聞きたいこと?」



とても深刻そうな表情でラケットを弄る様子は、いつもの騒がしい謙也くんとは思えない。目を合わせると、彼は何事かを言おうと口を開いたが、思うところがあったのかまあええわと言い捨て走り去ってしまった。

…俺にも言えないようなこと、だったのだろうか。
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