ネットに向かい合って山吹中の部長さんと握手をすると、すぐにD2の試合に移る。いつもシングルスで試合をするときよりよっぽど緊張しているのは全部気のせいだ気のせい。



「四天宝寺の聖書と試合できるなんて光栄だな! 今日はお互い良い試合をしようぜ!」

「せ、せやな!」



案外テンションが高い。びびりまくっている俺に発破を掛けるようにやんややんやと声援なのかブーイングなのかの声を上げる皆に愛想よく手を振り返すような心の余裕も無い。……一方、隣の謙也くんは楽しそうに地味'sと喋っている。ちょんちょんと裾を引くと、気付いた謙也くんはこちらを向いた。



「謙也くん」

「…おん?」

「もし負けても恨みっこなしやで」

「何言うとるんや白石、俺達は絶対負けへんわ!」



凄く眩しいよ、謙也くん…
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