入部してから数ヶ月にも関わらず、財前はあっという間に強くなっていた。持久力は勿論、筋力や技術に至るまですべてが前とは違う。



「凄いなあ財前、あっちゅー間にこんなに強くなりおって」

「……いや、俺今負けましたよね6-0で」



そうだけど、うーん何て言うんだろうねこれは。もしかしたら、こういうのは他人に言われないと気付かないのかもしれない。強くなったよ、ともう一度繰り返すと財前は少しだけ、嬉しそうに笑った。

時計を見ると、いつもなら流石に家に着いている時刻だった。そろそろ帰ろか、と促すと、俺は財前の頭を撫でた。



「敵わんなぁ、もう」
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