小四が始まった四月も半ば、14日の話である。正確に言うと、同じクラスになった白石と、隣のクラスの侑士と話していた時の話だ。

昼休みに俺達のクラスで話していたら、ふと同じクラスの崎原さんがこちらに近寄ってきた。



「白石君、今日誕生日だったよね? おめでとさん!」

「おん、ありがとな、崎原さん」

「「・・・・・・」」



ほわほわと笑う崎原さんと白石と違い、俺達の心はブリザードだった。間違いない。

基本、白石は俺達のことを知っている癖に、自分のことは明かさない。秘密主義といえば聞こえはいいのだろうが、そのお陰で今後大変なことになるのだが。

兎も角、俺達は白石の誕生日がこんなに早かったとは全く知らず冷や汗を流す。小学生のお小遣いなんて雀の涙ほどだ。何も買えやしない。



「そうや、花!」

「花?」



うちの学校の校庭には沢山の花が咲いている。それをミニブーケのようにして渡したらいいんじゃないか。

それを言うと、侑士は「その手があったか!」とぽん、と手を打った。






「「白石!」」



放課後に花を摘んで、先生に赤いリボンを貰って飾り付けて完成した花束を後ろ手に隠して白石の元に訪れた。どうやら教室で待っていたらしい。



「お、なんや二人して」



本当に不思議そうな顔だ。俺達は顔を見合わせると、にっこりと笑った。



「「白石! 誕生日おめでとう!」」

「え、うわ、」



花束を差し出すと、白石はおずおずと受け取る。しばらくぼんやりと眺めていたかと思うと突然顔を白石は顔を上げて嬉しそうに笑った。



「ありがとう!」



Happy Birthday,Shiraishi!
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