1周年リク
僕らはきっとプロフェッショナル
今日は見事な快晴。こんな時は元気の出るあの曲がぴったりだ。あっ、でもこっちの曲最近あんま聴いてねえな。先にこっち聴くか。いや、でもこれ聴いたら次にカップリングに流さないとしっくりこねーんだよな…。いいや、どっちも聴いとこう。………キタ。やっぱここの紗希乃ちゃんカッケーわ。まじで最近歌割りいいとこ貰えすぎて今後干されないか心配なんだけど。あー、ここ!ライブでの歌い方の方が好きだから再録してほしいなァ…。携帯音楽プレイヤーを握りしめ、何度も通いなれたビルのエレベーターに真顔で乗り込む。別に、誰も見ていないことなんて知ってる。だけどな、下手したら締まりのない顔でにやついてんだぜ。だって、このビルの2階にはオレの癒しと物欲を消化してくれる最高
のパラダイスが待ってんだ。エレベーターの扉が開いたら、パネルの中の紗希乃ちゃんがオレをお出迎えしてくれるんだ。

「……なぜ……?」

チーンッ。扉が開いたかと思えば視界に広がる赤色。なんでだ。なんでお前がこんなとこにいんだよ。

「キセキの世代の赤司…!」
「?あぁ、どうも。緑間の先輩ですか」
「おう…っつか!なんでお前がここにいんだよ学校は京都だろーが。」
「実家はこっちなのでアイドルショップに寄るついでに帰省しようかと思いましてね」
「それ逆だろ!」
「そんなことはない。ところで、そちらこそどうしたんだ」
「はい?ドルヲタがアイドルショップ来て何か問題が?つーか敬語外れてんじゃねーか」
「強いて言うならみゆみゆのグッズはこの店じゃないですよ」
「クッソなんで知ってんだよ緑間か!緑間のせいか!」
「どうせ目移りするのなら単推しとか余計なこと言わない方が身のためですよ先輩」
「憐れんだ目で見るんじゃねー!お前マジで冷やかしに来たんならやめろよ。オレはちゃんとここに紗希乃ちゃんのグッズを買いに部活の休みを使って来てんだよ」
「僕も、新しい生写真が入荷したと聞いたので。」
「まじかよどれだよ」
「おそらくあの三種類かと。本人に何の写真なのか聞いたのに、いつのだかわからないと言われましたよ。全く、プロ意識が欠けていて駄目ですね。もっと自分を売り込まないといけないというのに。」
「なあ、お前の立ち位置がイマイチわかんないんだけど、紗希乃ちゃんの友達なの?ファンなの?それともプロデューサーなのか?」
「先輩はちゃんとファンで収まってますよね」
「おっまえ収まってるとか言うんじゃねーよ!こちとらファンの境界線を越えないようにいつでも冷や冷やしてんのによ!」
「ところで新曲聴きました?」
「ラジオでだろ?もちろんだ。紗希乃ちゃんBメロの良いとこに歌割りがっつり来てて思わず叫んだぜ。ここんところ順調に歌割り貰えすぎて、今後干されるんじゃないかとオレは不安だ。」
「まあ、最悪歌割りが無くても吉川のダンスはダイナミックだからほどほどにカメラに抜かれるとは思いますけど」
「あ?お前ダンスの方なの?」
「DVD発売された曲は大抵全部踊れますよ。フォーメーションも任せてください!」
「まじかよ…ドヤ顔するくらいだなんて、お前思ったよりもガチじゃねーか…」
「何でひかれてるんだ?そっちこそ歌割り厨っぽさが滲み出てますけどね。歌割りなんてあれだけ人数がいれば偏るでしょう」
「そりゃー、満足いく歌割りの曲なんかそうそうねえよ。だけどな、次のシングルで紗希乃ちゃんの歌割りがなかったらどうしよう…!って新曲タイトルが判明したころから胸の奥がざわつくんだ……」
「はあ」
「それで、ラジオとかテレビで流れてからの解放感な。ちなみに2番に歌割り貰えても、歌番組とかニュースはショートバージョンかサビらへんしか映さないからオレ的には悲しい。かなり悔しい!」
「へえ、まあでも一文字でもあるだけ良いし、ライブで時々フルサイズでやるときもあるじゃないですか」
「時々な…」
「メドレーとかだと2番に繋いでたりとかしますし」
「ごく稀だな…」
「先輩めんどうくさいです」
「そういうお前はどうなの。フリコピとかほどほどにしねーと会場とかで嫌われんだろ。まさか客席で一人フォーメーション移動とかしてねーよな」
「まさか!ライブでは全く動かずにステージを凝視してますよ。そうじゃないと振りの確認ができない」
「お前さライブでもずっと目ぇ見開いて凝視してんの?絶対やめろよ、まじで。こわいだろうが。」
「ちゃんとサイリウム振ったりしてますよ。ダンスというか、わいわい動いてるのが多い曲だと流石に振りを覚えようとしても毎公演違いますしね」
「お前が全力でサイリウム振ってオイオイ言ってるの想像できねーわ」
「やだな、僕だって普通のドルヲタですよ?サイリウムくらい振る。歌割りに合わせて色変えるのとか得意ですしね」
「まじかよ、オレ苦手だからほとんど紗希乃ちゃんの色かその付近で止まってるわ」
「慣れたら簡単ですよ、コツ教えましょうか」
「コツとかあんの?どーすんの?」
「ちょっとしたことですよ。宮地先輩、この後空いてますか」
「おう。場所変えよーぜ、どこ行くよ」
「そうですね、適当に喫茶店でも」
「マジバとかでもよくね?」
「いいですけど、僕は帰りにうどん食べてくので。」
「うどんか良いな。明日が待ってるしな」


ひとまず、新作の生写真を3種類購入。レジの人にこの前やってた舞台のDVDを進められたが、それは今日の朝にア●ゾンから発送されたばかりなんだ。届いたら何度も見てやるよ。だから初回限定推してくんのやめろ。限定だからって何個もいらねーから。…仕方ねーな、新曲のバージョン別の初回限定注文してやる。予約したのはAとBだった気がする。じゃあ、CとD買うわ。あ?なに?赤司おまえ予約済みなの?わかったからとりあえずエレベーターの前で待ってろ。ばか、プロモーション用の映像見てフリコピしてんじゃねーよ!




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あとがき
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