拍手ログ こどもあつかい


「ここからは危ないから離れて」

キッチンに運んだ踏み台は降谷さんの手によって簡単に撤去されてしまった。夕食づくりの手伝いと称してぴょこぴょこ作業を覗いていたわけだけど、火を使う段階になってからキッチンから離れるように言われた。待ってください?わたし、ちっちゃくなったとはいえ未就学児ではないんですが??

「はい!吉川は別に火も扱えます!」
「ただし成人済みに限る」
「限らない!弱火中火強火調整お任せあれです!」
「フライパンが重くてそれどころじゃないだろ」
「ぐっ……」

そりゃあ片手でヒョイヒョイ動かせるサイズではない。気持ちはわかる。ただ揚げ物ではないので大丈夫。それじゃあ足元にいてやるんだから。ガスコンロの前に立つ降谷さんの隣りに三角座りをする。ジュウジュウ美味しい香りが上からやってくる。見たいなあ、と思うけど、ちっちゃい身体は踏み台がないと高さがイマイチ足りない。

「調味料とるからちょっと避けてくれるか」
「やです!」
「わかったわかった」
「わかってないいい!動かさないでええ!」

三角座りのままスライドさせるように抱えて動かされた。抗議しているわたしを見かねたのか、降谷さんは少し首を傾げたかと思うとわたしのスマホを差し出した。

「動画サイトでも見て明日食べたいものでも探しておくように」
「これ育児で困ったらやるやつじゃないですか〜〜!」
「今まさに困ってるからな」
「わたし子供じゃないのに!」
「どこからどう見ても子供だな?」

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