アイドルシリーズ

なみだ*
※ばったりのつづきみたいな感じ



「ふーん……」
「お前帰ったんだと思った」
「走り込みだって言ったじゃん」

「ねえ、火神くんはバスケ大好きなの?」

「あー?大好き?まあ、そうだな。フツーに好き」
「普通じゃないでしょー。だいだい大好きって顔してたもん、」
「そんなヘンな顔してたつもりねーよ」
「昔のみんなみたいな顔してた」
「……お前さ、アイツらと仲良かったんだってな」
「過去形じゃないよ!今でも仲良し!」
「でもよ、黒子の話を聞く限りじゃ最後らへんは仲良しこよしってワケじゃなかったんだろ」
「『みんなで』はいられなかったけど、仲良しだったよ。テツくんはわたしの目覚まし時計係のままだったし、ミドリンとはおは朝のアイテム探し一緒にしたし、むっくんとはいつもまいう棒食べたし、赤司とは将棋もしたし、青峰とは屋上でマイちゃんの写真集眺めたし、桃ちゃんとはよく遊んだし、涼太はこれまで通り幼なじみだし」
「……それって、お前にとって良かったのかよ」
「わたしにとって?」
「だって、お前はキセキの奴らの友達だったんだろ。気が合う奴だったって黒子が言ってたけど」
「……うん。友達としてはそうだと思うし。そうであって欲しいけど。でもね、わたし知らないの」
「?」
「みんなが楽しそうにバスケをしてる姿を知らないの。放課後も、週末も大体仕事だったし、たまたまオフで桃ちゃんのお手伝いをしたことはあるけど、試合は見たことないの」
「……」
「やっと、仕事の合間に抜け出して全中を見に行ったんだけどさ」

「みんなちっとも楽しそうじゃなくて、見たことない顔で戦ってて。あー、わたし何も知らなかったんだなー、って思った。知らないのに、今まで通りに『みんなで』仲良くしよう!なんて言えないもん」
「……黒子も大概だと思ったけどお前もまどろっこしーのな」
「はは!だって、みんなと気が合う奴?だからね!」
「お前は気にせずにいればよかった気がすっけどな」
「んー……、丁度そのころに映画とか大きなお仕事が入っちゃって、学校にあんまり行けてなくてさ。気づいたらみんなバラバラ」
「ま、少なくともお前は悪くねえじゃん。んな顔してやるような価値アイツらにねえよ」
「……っ、うう、何なんだよーっ……」
「うわ、泣くなよ」
「ひっ、ひっく、うぇ、ホントはバラバラなの嫌だったけど、しょうがないじゃん、わたしバスケできないしみんなに会ったの後からだしみんなの輪に入れないし、どうせ友達いないよコノヤロ!相談できるのもいないよコノヤロー!こんなこと話したの火神くんが最初で最後だようわーん!」
「考えすぎなんだよお前は……つか、友達いないことねえだろ、輪に入れないとか嘘だろ被害妄想激しすぎんぞ」
「火神くん優しいのか酷いのかわかんないよおおお」
「友達いなくてもいいだろ」
「そんな慰めいらないよーっ!!!」




::::::::::::::::::::::::::::::::::::

火神くんはカウンセラーだと思ってます。


prev next

bkm
- ナノ -