「おねがいー!」
「だって一回やったらキリがないんだもん」
「幼馴染のおねがい!マジで!今度何かおごる!」
「おごるって言ったって部活に仕事に時間ないじゃん!」
「だいたい誰に頼まれたのよ、わたしのサインほしいとか」
「えーっとぉ…」
「言えないわけ?だったらあげないもん」
そわそわ、そわそわ
「なにキョロキョロして…え、なに、あの人?(隠れてるつもりかあの人全然見えてんだけど)」
「ほんと、ないと困るんス!じゃないとあの人機嫌ワリーし、なんか怖いことばっか起こるし!」
「(何を言ってるんだこいつは)」
「アイドルがそんな目しちゃダメ!」
「(ていうか、そんなこんなしてる内にこっち来たんだけど)」
「……今日のラッキーアイテムなのだよ…!」
「……へ?」
「今日のかに座は11位。アイドルのサインがなければ12位と同等、最悪それ以上に最悪な一日になるらしい。頼む、サインをくれ」
「あ、はい」
「できればこの緑のサインペンで書いてくれ。ラッキーカラーはグリーンだ」
「(なんでわたしこんな素直に描いてるんだろう…)」
(恥ずかしいからってオレに頼んだんじゃなかったんスか緑間っち!オレ頑張って交渉してたのに、なんであっさりと自分から頼んでんの?!)
(貴様じゃ埒が明かない。それに、人事を尽くさねばならぬと思ったまでなのだよ。)
(こいつがミドリマッチか…!)
***
緑とはじめまして