月と妃と人質と。1







「え?」
目の前にはトラック。
衝撃の後は一瞬の痛み。
その後は・・・・・。


望月修、16歳。
呆気なく俺の人生が終わった。慎ましくも幸せな日々が終わった瞬間である。











気持ちがいい・・・・・。ぽかぽかして、なんだか身体もふわふわしてる。水の中に浮いている様な、そんな感覚。


「・・ら・・・しゅ・・・」


うるさいな。
このまま寝かせて。
「シュラ・・・」

気持ちがいい。
こんな気持ちよさ、死んでも味わえないくらいなんだから放っておい・・・・

「シュラ、起きないのかい?」


あ・・・・れ?

「シュラ、シュラ、シュラリーズ・・・」
あれ?

俺・・・





俺、死んだんじゃ・・・・





パチっ!


「おや、ようやくお目覚めかい?」

深い緑の瞳と目が合った。プラチナブロンドの髪以上に、その人の笑顔が眩しい。

「シュラ、可愛いシュラリーズ。お父様が分かるかい?」

お父様って何プレイ?!
待って!俺、普通の高校生だし!危険なバイトとかした事ないし、それにまだ童貞!・・・・ってそれよりも、さっきから

「うっ・・・」
「おや?」
「うぎぁぁぁぁ!!!(しゃべれねー!!!!)」


どういう事?!








どうやら俺は今、赤ん坊らしい。プレイじゃないからね?赤ちゃんプレイじゃないからね?

あまりの出来事にパニックになって、ぎゃーぎゃー泣いてたら緑の瞳の男の人も慌てだして身体が浮いた。その浮遊感がまた怖くてより一層声をあげてしまい、俺の声を聞いて飛んできたらしい女の人達が代わる代わる抱っこするもんだから、またまた怖くて一層泣いた・・・・。



もう俺ぐったり。
泣くってすごい体力を消耗するんだね。
「・・泣き止んだ・・・。」

ほっと息をつく男の人
・・・・と周囲の人々。


どうやらこの緑の瞳の男の人は俺の父親らしい。優しげな雰囲気の美男子で男の俺ですら見とれる格好良さだ。
「旦那様、シュラリーズ様は私達が見ておりますのでお休みになって下さい。」
あ、そうそう。俺はシュラリーズという名前らしい。女の人たちは俺をあやしながら、何度もそう呼んでいたから間違いない。
「・・・シュラ、お父様がいなくても大丈夫かな?」
眉を下げて困った様に女の人の腕に抱かれた俺を覗く男の人・・・ではなくお父様。
困らせたくなくて大丈夫だよと言いたいのに言えなくて、頷く事すら出来ない俺は



笑ってみせた。
うん、笑ってみようと試みた。



「・・・おや。」
「まぁ!可愛らしい!」
「天使の微笑みだわ!」

うまくいったらしい。
なんかよく分かんないけど、「お利口さんだね。」とお父様の大きな手で優しく撫でられたから、よしとしよう。綺麗な笑顔で見つめられるから、なんだか嬉しくなってしまったし!!やだなぁ、もう。

お父様の大きな手が気持ちいい。
瞼が重くなってきた。
考えなきゃいけないことがいっぱいあるのに・・・。




あとがき。
どうしよう、ノープランすぎる。

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