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★アイス六本キス三つ

【浜田と泉の場合】



 暑い。
 太陽が容赦なく光るもんだから、草は緑が濃くなって、オレの血も濃くなって、眩んでしまう。
 動いたら水気が飛んで死にそうなんで、オレは浜田んちの冷蔵庫からアイスを失敬して冷たいフローリングの上に転がっていた。

 暑い。それしか言う事がない。
 何でこんなに暑いんだ。アイスみたいに溶けっちまうよ。


「泉。」

「ぁんだ、っむ、」


 名前を呼ばれて、閉じた瞼をまたすぐ開けるはめになった。
 なのに世界はまたしても暗転する。覆い被さって来た浜田で視界がいっぱいになって、口につけていたアイスも奪われてしまった。

 代わりに唇に触れたのは浜田の唇。
 舌に触れたのはやはり浜田のそれで、アイスを舐めて甘たるくなったところを全部触れられ、なぶられる。
 そうして甘くなった吐息まで奪うようにするものだから、唇が離れる頃、オレは酸欠ぎみになっていた。
 荒く呼吸をするオレを見下して、浜田はにこっと笑う。なんだよ、こいつ。


「…クラクラする。」

「暑さのせい?それともオレのせい?」

「……。」


 あんまり暑い暑いって言うからイラッとさせただろうか。それとも口に挟んだアイスの棒にムラッとしたか。
 穏やかでない笑顔に問われた事にはこいつを両足で絡めて捕まえる事で答える。

 そしたら浜田はやっぱり笑って、溶けたアイスをオレの口に押し込んで舐めろと命令してきた。
 どうやらこの暑さで浜田もイライラしていたらしい。
 たまにはこういう、強引なのもいいなあなんて、ちょっと興奮してしまった。


―― lick lick.


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