Category:花井と田島
2013 6th Aug.
○駆引きの勝者
【高校生と高校生】
※ちょっとえっちです
向かい合わせた拳を振って、掛け声とともにぽんと出す。
その指の数で決まる遊びの勝者に権利が与えられるようになったのはいつからか、そんなのはもう忘れてしまった。
「オレの勝ち!はい花井、目ぇつむって。」
田島は鋏、花井は紙を模して手のひらを開いた形を出す。
勝者は田島。権利を得た彼は揚々と敗者に指示を出し、それに倣うのを見届けて、彼の薄い形の良い唇に自分のそれを重ねた。
ふたつが距離をなくすのは、ほんの僅かな時間だ。近付いて軽く触れるだけ。それ以上触れ合おうとは、彼は絶対にしなかった。
だからだろうか。こんなまともでない事を、いつも突飛な彼の遊びの延長のように感じているのは。薄ら瞼を開け田島が近付いて来るのをただ受け入れていた花井はそんな事を思いながら、短い睫が少し震えて瞳を見せるのを見ていた。
花井が好きだと田島は言う。それに対して答えを返さないでいたら、田島がこの遊びを提案したのだ。
ジャンケンをして彼が勝ったらキスさせる。反対に花井が勝ったら何もしないという、ゲームバランスに偏りのある遊びだ。
初めこそ負ける度に困惑していた花井だったが、最近は大人しく受け入れるようになっていた。この変遷は何だろうか。
灰色の目に終始田島を映していた花井は、ジャンケンする時そうだったように隣へ腰を下ろそうとしていた。
身長にだいぶ開きがある為、ただ座っている花井にキスしようとすると、田島は腰を浮かさなくてはならない。
座る時は、誰だってそこを確認する。例外なく俯いて腰を下ろした田島へ、花井は手を伸ばした。
「え… んっ、」
まだ甘い線の輪郭をとらえ自分のほうを向かせると、花井は先ほど自分に触れたそれを再び重ねた。
但し、触れるだけなんてそんな風にはしてやらない。強く押し当てわざと音を立てて吸ってやる。
そうしておいて、一瞬触れる程度まで軽く当て、油断した唇を舌で割る。
「ふ、…う、」
合わせ目すれすれで誘うように舐めると、されるがままだった彼も堪らなくなって舌を伸ばす。恐る恐るのそれともっと絡めてやろうと、田島の顎に添えた手の親指で彼の口の端を引き、こちらで無理に入口を広げてもっと深くまで会いに行く。
唇同士が遊ぶ音を立てながら、指を口許から徐々に下げ、首筋を撫でて胸に触れた。
途端彼が震えたので、花井は遊ぶのをやめた。あの灰色の瞳は真っ直ぐに、最早外す事を欠く。
「好きって多分、こういう事だよ。」
「……、なに。」
「触れるだけじゃ終わんねえって事。もっと奥まで…おまえはどうなんだよ。」
「………。」
「そういう「好き」なの?」
来た道を戻るのなら、遊びで済む今のうちだ。
その覚悟がないのなら、もう続けるべきでない。それを問うたら、田島は花井の視線を真っ直ぐに見返して言った。
「そういう好き、だよ。」
最早答えを聞かずとも、彼の丸い明るい茶色の瞳には劣情のそれが揺らめいている。
「もっとしたい。もっと、触りたい。」
「ああ、そう。」
「オレ花井が好きだもん。…もっと、したい。」
熱に溶けかけた目で言われ、何を求めているのか明らかな手に触れられて拒む理由を、花井も持っていなかった。
本当ははじめから好きだった。はぐらかしていたのは逃げ道を閉ざさないようにしていただけで、今だっておまえはどうなんだと相手の出方次第で退けるようにしていただけだ。
とても賢いだけ。けれど、このゲームに遅出しで勝ち続けていた彼がそれを責められるだろうか。
どちらともなく手が触れる。
さて。このゲームの本当の勝者は、二人のうちのどちらなのだろ?
―― of course i am!
一年365題より
8/6「ジャンケン」
BLてかんじで。
この時点で花井がうっすらすけべいの香り。
エロテロリストランキング
(*°◇°)>( `/、)>>>>>(∴・д・)>>(*`∀´)>(仝ω仝)
浜田は変態なのでエロにカウントできません。
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