『ただひとつの意味』
何処にどんな意味があるかなんて知らねえ。俺がしたい処に、彼女が無意識に導く処に強く口付けて痕を残せば、それ自体が俺にしか出来ない事として意味を持つ。柔らかな髪、濡れた唇、白い首筋、甘く香る胸元、しなる背中、戦慄く爪先。彼女に触れることを許された証を今夜も口付けて刻んでいく。
『振り向く君に』
「こっちみたいですよ!」初めて来た並木道を彼女に手を取られて半ば引っ張られるように歩いて行く。あの頃の無骨な外套や上着ではなく、柔らかな服に包まれた小さく頼りなげな背中。時々振り返る笑顔と繋いだ手の温もりに、この優しい世界に共にいられるように柄にもなく願った。(りばぺと現パロ)