…人形。
初めて目にした一瞬、ふと頭に過った考え初対面で笑いもせずに一言を口にするだけ、つまり無表情で彼女は自分の名をれいと名乗りこう言ったのだった。


『よろしくお願いします』


自分も言えないが温かさが全くなく硝子の様に繊細な声に

深く惹かれた。

こんなにも人に執着する程の想いは初めてだ、近くにいつも居た彼女だが上手く話しかける事が出来ない知りたくても、知れないそんな状況が長く続いた

3人、グラン、バーン、私の…世話係と言えば良いんだろうか。その為に連れてこられただけで、彼女は出来る人だった。
私達の身の回りの家事はまるで慣れている様に素早くこなしているし、余った時間があればとにかく動いている、静止がない姿。完璧に全てをこなすのだ。文句や不満が有れば会話をする機会もあるだろうしかし、一切無いのだ。必要最低限喋る事も無いし喋る言葉はいつも一言のみ。

つまり私達は彼女は出来る人という以外何も知らない。彼女自身も自分の事を話す事はないのだから。このままで良いんだ、という思考のまま、彼女の事を何も知らないのは私だけじゃないのだから。


所がある日、グランと会話している光景を見た。少しだけ、ほんの少しだけ微笑んでいた彼女。この日を境に止まらない何かの感情が駆け巡る。私ではなくなった気分だ


「れい、」

『…何でしょうかガゼル様?』


背後から名前を呼ぶとゆっくり振り向いた、彼女。硝子音が残響した声で返事をする。

そのまま押し倒して見ると彼女は表情を全く変えずに私の目を真っ直ぐ見た冷たいのは慣れているはずなのに、私のなにかが傷んだ。


『何か様ですか?』

「…れいを知りたいだけだ」


冷たくて凍てついた硝子が割れそうになるような表情と瞳。
それに腹が立った衝動になのか彼女の唇に口付けた


『ふっ…ん、ぁ…!』


深く入り込むと彼女は苦しそうに顔を歪ました。そっと離すと銀色の糸が繋がり、ほどけた。息は上がっているがまだ彼女は無表情のまま、私は彼女が分からない、何故なのか。

まだ真っ直ぐに私を見て行動を疑視するかのように見たまま、反らさない。抵抗も何もしない彼女を置いて私は自分の部屋に向かった。



(彼女の心は人形のように無い)



人形





- 2 -


[*前] | [次#]
ページ:




人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -