ぴたりと手を止めてじーっと真正面の鱚味を出来心で見つめてみた、だがくるくるとお洒落にカルボナーラをフォークで巻いて一口、また一口、口内へ運ぶ動作をもう14回見ている。未だに彼女は気付かない、それとなくカルボナーラを食すスピードが上がってるだけ。そんなに美味しいのか、と声に出して俺は聞いてみた。するとうん、しか返事は帰ってこない。半ば諦めて俺も自分のパスタを口に運んだ、すると今度は鱚味が俺の食べている姿を直視してくる姿、一体何なんだこのカップルは。因みに俺が食べているパスタは極めて普通のナポリタンだ、彼女の睫毛が上下に動く、ぱちり、目が合った。


『ヒロト、』

「うん?」


…沈黙が流れた、名前を呼ばれただけで、鱚味はにこりと笑って残りのカルボナーラを食べ始める、一体何なんだこのカップルは。以心伝心だなんて結局は言葉だけなんだと思った、俺は思い成りかナポリタンを荒々しくフォークにくるりと巻いて口にして、また同じ淡いトマトの味。綺麗に盛り付けられたナポリタンのバジルはただの飾りでしかない、お腹を膨らますのは所詮ナポリタン。バジルの味なんて誰も説明できる訳がないのだ、そうだ鱚味はバジルにしてるのかもしれない。


『ヒロト、』

「なにさ」

『ヒロトはやっぱり赤が似合う』


彼女は席を立った。カタン、音がして俺の距離まで5センチメートル。ちゅう、カルボナーラのまろやかな懐かしいようなミルクの味が俺の口に広がった、上目で見てみた彼女の唇には、俺のが付いていた。



『君の方が似合うよ、。』













***

基山厨は基山厨らしく、ね。






100809


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