出会う


例えば、その朝が一つの普通の始まりだとすれば、夜も普通に終わって、その日々が24時間、一週間、一か月、1年と、死ぬまで続くかもしれない。


別に私は、普通が嫌いでも好きでもないし
特別というのが安々とあるとも思ってない

ましてやある方がおかしい、それこそが特別だと私は思っている。

ただ、その一つの朝を、私が特別だと思うことによって、それが普通という物でなくなるなら

たまには、そういう朝も悪くはないのかもしれない。


ピピピピ...

「んっ…」

カチッ
煩わしく鳴り響くその微量な音に起こされ
覚醒しきっていない体で、アラームを止める

相変わらず、朝とはめんどくさい物だ

AM9:30


「・・・・」
ムクリとベットから起きれば
いつものように背中が気怠い感覚に襲われる

これから授業だ、めんどくさい
そんなことを思いつつも、大学へ重い体を持っていく


―――…


「イヴー!!」


「ん?あぁ、ベルおはよう」


「今日も気怠そうな顔しとるなー」


「まぁね、しかも昨日レポート片付けていたから、寝たの2時で…」


「あるあるー!ほなウチから今朝焼いたワッフルのプレゼントなー」

ほぼ半強制的ではあったけど、ベルにワッフルを口に突っ込まれた。おいしい。


「んっふふー、イヴのそういう冷めたところ好きやわー、あ、ほなウチはここでなー」


「あぁ、うん」

私は経済学部なのだが、ベルは心理学部で、学部が別なためここでお別れ

「あ、ベルー昼食一緒にする?」

「んー、あ、今日お兄ちゃんいるから無理やった…」


「うん、わかった。またねー」


「うん、ほなな―!」

少し微笑んでゆっくり背を向けるベルに手を振ると、今度こそ別れた


しかし暑くなってきたな

「もう6月か」
あと少しで夏休みだ。周りを見渡せばいつの間にか華々しく咲いていた花達はいつの間にか青葉に変わって生茂っていた

そんな中何やら吹く風になびく木々の音意外に、ガサゴソと紙袋をいじる音が斜め横から聞こえてきた

しかも音量が普通じゃない。そこまででかいわけじゃないけれど、普通の音量ではない

「でっか…」

目に映ったのはとてつもなくでかい紙袋を持った男
片手にハンバーガーを持っているので、推測するにあの紙袋の中もハンバーガーだろう
見た目からして、まだ8〜10個は残ってると思われる


向かってる先が同じという事は同じ学部なはずだ、何年生だろうか。

まぁ、そんなのはどうでもいい
メガネとアホ毛が印象的な奴だ。

―――+++

「(…相変わらず、眠い授業だ)」


特に何もなく、教授の話が進み
私はルーズリーフにメモを取っていくだけ

まぁ、あと何分かで終わる


「ぁの…」


「…」


「あの〜…」

・・・なんか幻聴聞こえる・・・

「あのー…」

ツンツン

「は?」

「す、す、すみません…」


・・・・・え
・・・・・・・誰?


「あ、はい、えっと…誰?」


「マシューだよ!…ってそうじゃなくって、えっと…マシュー・ウィリアムズ…です。経済学部の1年生です」


「あぁ、えっと私はイヴ、3年。で何の用?」こんな人、講義であったことない、てか1年生で自由選択これとるんだ…すごいなぁ


「あの…赤ペン貸してくれませんか…?」


「え、えぇ、全然いいですよ」


「ありがとうございます」


「どうせあと2分くらいだし使ってていいよ」

後輩なんてルートぐらいとしか話したことなかったからな
結局それで授業は終わって、ペンを返してもらった


「イヴ先輩、ありがとうございました」

「いえいえ、どういたしまして」
自分の持ってきたルーズリーフや筆記用具を片付けて、正面から私の目はウィリアムズ君を捉えた

・・・ふわふわしてる

「なんか、キレイな髪ね」

「え?僕ですか?ありがとうございます」

「次の講義は学年必須?」

「はい、そうです」
そうやってにこやかにふわふわとした声で私に返してくれたウィリアムズ君の声に
一際大きな声が被さった

「マシューッ!次の講義一緒に行かないかーいっ?」

吃驚した

「あ、お友達…?」

振り向いてみると、そこには今朝見たハンバーガー青年が立っていた
インパクトがあったせいか顔を覚えていた

「はい、まぁ〜」


「?横にいるの誰だい?」


「こちらは3年のイヴ先輩だよー、僕に赤ペン貸してくれたんだ」


「はじめまして、イヴです、イヴ・ナユキ。よろしく」


「Oh!よろしくね!オレは1年、アルフレッド・F・ジョーンズって言うんだぞ!」

「あぁ、よろしく、ジョーンズ君」
しかし、元気な子、ハイテンションっていう方が正確…悪く言えばうるさい…
本当にこの二人友達なのか

「それじゃぁ、またいつか…」

「じゃぁねナユキ!!」

「え、ぇ、またいつか」

…タメ口か、構わないけど、せめて初対面だし、さんとかなんか付けて欲しかった。

若いのは元気だな、自分もそんなに老けてはないけど年下を見るとついそう思ってしまう


私も次、第2外国語の授業入ってるし
行かなきゃ



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