渇望


いつまでも一緒に居れるとは思はなかった。でもいつまでも一緒に居たいと思っていた。勿論花井だってそう思ってるって信じてた


「別れよう」


こんな時花井なら気まずそうに言うんだろう。でも目の前に居る花井は満面の笑みで言うんだ


「俺、結婚するんだ。会社の同僚でさ!田島にも今度紹介するよ」


なんでそんなにあっさりしているのだろう。俺たち高校の時から付き合ってるんだぞ?直ぐに切れる様な仲だったか?嫌だ、そんなの嫌だ、そう思うのに口が勝手に動く


「そっか、楽しみにしてる」


思っても居ないのに口が動くんだ、どうして?なんでなの?意味がわからない


「式には呼べよな」


止まれよこの口、潰してやろうか。こんな自由の効かない口なんていらない。こんな変な空間なんていらない。俺を好きじゃない花井なんていらない。


(…じ……ま…ろ!たじ…)


「田島起きろ!」
「はな…い?」
「大丈夫か?お前、うなされてたぞ」


いつもの花井だ。夢で見た大人ではなく高校生の花井。正真正銘本物の花井。抱きついて感触を確かめる、ここに花井が居る。


「離れないで、ずっと一緒に居たい」
「どうした田島、怖い夢でもみたか?一緒に居るだろーが、なっ?」
「好き、花井」


怖いのは夢じゃない。俺の醜い感情だ。お願い離さないで、ずっと一緒に居て。じゃないと……


俺どうするかわからないから




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