「…たら………で」
「んう……」
心地よい微温湯から引き上げられるように、
私の意識は声に引っ張られて目を開けた。
どうやら懐かしい夢を見ていたようだ。
「こんなとこで寝てたら風邪ひくで、めい」
「…いずも…」
「おはようさん」
「…おはよう」
いずもが出かけてる間の店番してたのに、
カウンターに座って寝てしまってたみたい。
「お留守番になってないね…ごめん…」
「ええよ、お客も来とらんかったし」
「結果論結果論」
「せやけど」
「うそ、ありがとう」
あの夢は私たちとみさきとさるひこが出会った時のだ。
私は端末に貼ってある、大分色が落ちてきてしまったプリクラを見る。
…あれから2年。
吠舞羅も大分変わった。
さるひこはもうここにはいない。
私を止めてくれるって言ってくれたのに、
もう、そばには居てくれない。
「なんや懐かしいな、そのプリクラ」
「いずもも今度一緒に撮る??隣に貼ってあげるよ」
「ええわ俺は」
「えー…あ、でも私も大きくなったから二人で撮ったらカップルみたいだね」
思ったことそのまま言ったらいずもが噴き出した。
「…汚い、いずも」
「けったいなこと言うなや」
「えー、だって。2年前は私15だったし、いずも22でしょ?兄妹か親子じゃん」
「親子ほどは離れてへんやろ!!」
「今なら17と24だし。私結婚できる歳じゃん」
「…お前なぁ…」
いずもが出してくれたココアをストローで飲むと、いずもは何か言いたげな顔した。
「…てか、その会話そのものカップルぽいっすよ」
「あ、みさき」
「いつからおったん??」
「さっきっす」
「歳の差なんて気にしないで。私もう結婚できる歳よ。みたいな会話だったっす」
「りきお、そこまで言ってない」
「めい、出雲と結婚するの??」
声に振り向くと、みこととアンナが階段を下りてきたところだった。
「アンナ」
「せえへんよ。そもそも俺ら付きおうてないし」
「私はいずも好きだけど」
「「「「え」」」」
「お母さんだし」
「ちゃうわ!!てかその設定まだあったん??」
するとさっきまで見てた端末がメールを受信したっぽい。
開いてみて差し出し人に少し驚く。
「どうかしたんすか、めいさん」
りきおが私の表情の変化に気づいて話しかけてくるけど答えない。
…答えれない。
「ごめん、出かける」
急いでメールに返信していずもが貸してくれてるお店の上のアンナの部屋に駆け込む。
私自身はいずもの居候だからお店の上にあるアンナの部屋に少しだけ荷物をおかせてもらってる。
多少動いても大丈夫なようにワンピの下にレギンス履いて、窓の前で靴を履く。
…下から出たら絶対誰かに止められるから窓から飛び降りた。
人で賑わう駅前に行き、目的の人を探す。
「…いた」
駅前ベンチに目的の人の後ろ姿を見つけてそちらへ行く。
背中あわせに座り、その背中にもたれかかった。
「お久しぶりだね、」
「…そうだな」
「連絡くれるなんて珍しい」
青のクランズマンでセプター4のNO.3、
伏見猿比古。