あれから私はあっさりとセプター4をクビになった。
あの場に青の室長さんが出てきてこういったから。


"必要な時に攻撃をためらう方はセプター4には必要ありませんので、
連れて帰っていただいて結構ですよ"


その言い方にみさきは怒っていたけど、正直私はホッとした。
いずもたちも、私がクビになった以上、ことを荒げるつもりはないって言ってたし。

で、今私はたたらの後ろに隠れてその腰にしがみついている。

「めい…十束に隠れとらんで出てき」
「ヤ。いずも顔怖い」

今回のことに関していずもにお説教されるのが嫌で逃げてる。
私といずもに挟まれたたたらは困ったように笑ってる。

「まぁまぁ、草薙さん。そんなに怒んなくても」
「怒っとらんわ。腹は立っとるけど」
「それを怒ってるって言うんだよ」

たたらはそういうと、私の目線に合わせるようにかがんだ。

「でも、今回はめいが悪かったよね。それはわかってるんでしょ??」
「…ん」
「だったら、迷惑かけた草薙さんにちゃんと謝らなきゃだめだよ。ね??」
「…ごめんなさい、いずも」
「よくできました」

そう言ってたたらは頭を撫でてくれる。
…なんだろう。
最近たたらの私への対応がアンナと同等な気がする。
8歳も違うのに。

「…ハァ。…ホンマに怒っとらんから、おいで」

いずもは眉間を押さえながら手招きする。
私は、今度はおとなしくいずものところへ行き、その腕の中におさまった。

「…もうホンマに、死ぬとか殺されるとか物騒なんわやめてな」
「うん」
「…ホンマにわかっとるん??」
「いずもが離れるなって言ったから私離れないよ。いずもが私の全部」

いずもに抱きつくとタバコのにおい。
私の前ではあんまし吸わないし、私も煙はあまり好きじゃないけど、
いずもからこの匂いがすると落ち着く。

「私が捨てた命を拾ってくれたのはいずもだから。カラッポの私に愛情を注いでくれたのはいずもだから。私はいずもの傍にいたい。いずもが大好き」

私は隣にいてもいい??と私が尋ねると、
いずもは少し呆れた顔して、指で私のおでこをツンとつついて言った。

「頼まれても離さへん」

私はもう、殺されたいなんて言わないよ。
私、ずっといずもに守られてたって気付いたから。
ずっといずもが守ってくれてたって気付けたから。
今までのたくさんのありがとうを返したい。

「私、みんなに出会うために生まれてきたんだね」

ストレインである自分が嫌だった。
でも、ストレインだからみんなに出会えた。
私の生きる意味は全部ここにあるんだ。
私がそうやって笑うと、後ろからも温かいぬくもりに包まれた。

「俺もいるんだけど。さっきから二人だけの世界でズルいよ」

もー俺も仲間に入れてよ、と頭上からたたらの声がする。
そして私の頭の上に頭をのせて、顎でぐりぐりしてくる。

「に゙ゃー!!痛い痛い…っ」
「あはは」
「なんや、ヤキモチか」
「えー違うよー。…まぁ、俺ももっと早くめいと出会ってたらなって思わなくもないけどね」
「たたらとは割と早く出会ったと思う、けど」
「うーん…そうなんだけど」

たたらは困ったように笑った。
…たたらはよくこうやってはぐらかすから、わかんないときがある。
私はたたらの方を向いてそのほっぺをむぃっと引っ張ってやった。
それと同時にBarの扉が開いて雪玉が飛んできた。

「ひゃ…っ」
「めい!!外ヤベーぞ!!超積ってる!!」
「八田ちゃん!!せやかてイキナリ雪玉投げつけることあらへんやろ」

雪玉がクリティカルヒットした私の頭からいずもが雪を払ってくれる。
私も頭をふるふるして雪を落とすと、犬みたいとたたらに笑われた。

「雪だるま作ろうぜ!!でっけぇの!!」
「!!作るーっ!!」

雪だるま。
その言葉に反応して外に行こうとした私の襟首をいずもが掴んで引き戻る。

「コラ待て。そないな薄着で出てったら風邪引くわ」
「めい、季節の変わり目とか弱いしね」

そう言って、いずもとたたらはコートと手袋、帽子を着せてくれる。
最後にいずもがマフラーを巻いてくれえて終わり。

「ふふっ…やっぱりお母さんみたい」
「誰がオカンや」
「私に愛情くれた人が私の家族」

私がそう言って笑うと、いずももせやなと笑って言った。
そして、Barのカウンターに座ったたたらがカメラを回しながら、いってらっしゃいと笑う。

「ありがとう」


いってきます。




すのぅふれいく

初めて会ったときから、私は幸せだったんだね。






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