5本目。

「ゆうちゃんプリン!!」

ガラッとドアを開けると、
机に向かっていたゆうちゃんがこっち向いた。

「おー、早かったね。高尾くん、ちゃんと伝えてくれたんだ」
「プリン!!」
「わーかったから。ほら、とりあえずドア閉めて。もうすぐ休み時間だからカーテン引いて留守中掛けといて」
「やーい居留守居留守」
「誰のためだよ」

私のためですね。
私は言われたとおりに扉のカーテンを引いて、留守にしていますの板をかける。

「ゆうちゃん今日もイケメンですね。だから早くプリンをください」
「そりゃどーも。お前ホント正直だな」
「誉められてる??嬉しいなぁ」
「誉めてない。…ほら、プリン」
「やたー!!」

私がプリンを受け取るのと、チャイムが鳴るのがほぼ同時だった。

「あ、1限終わった」
「そういやお前、今日は時間割変更は??なかった??」
「うぅ…今日は確かなかったと思う。…いつもすまないねぇ」
「まぁ、ノートのコピーくらいないと勉強しようがないでしょ。俺の人気に感謝しなさい」
「はいはい感謝感謝」
「そこはツッコめ」

すると、保健室のドアがノックされた。
瞬時に私とゆうちゃんは黙る。
一応居留守中だし。

「三島センセ、ゆりちゃんも。いんでしょ、開けてよ」

…高尾くんだ。
私はゆうちゃんに無言で首を振る。
さっきの今で会いづらい。

「さっきイスからひっくり返って頭ぶったんでタンコブできてないか見てほし…うおっ!!」

私は高尾くんの言葉を最後まで聞かずにドアを開けて中に引っ張り込んだ。
またドアをしっかり閉める。

「座って」
「や、あの」
「いいから座る!!」
「はい」

ゆうちゃんはちょっと呆れたように離れてみてる。
必要ないと判断されたんだろうか。
信頼されてんなぁ、元マネージャーの私。

「痛いとこある??大体でいいの」
「後ろのほうかな。マジでひっくり返ったし」
「んー…タンコブはできてない。…あ、ここ痛い??」
「ちょっと」

マネージャーやってて良かったってこういうときにつくづく思う。
自然と体が動く。
それこそバスケ部の主戦力である高尾くんが怪我でもしてたら私にとっては一大事。

「ひっくり返った時に手はついた?」
「いんや…たぶんついてない」
「そかそか。なら後頭部冷やすだけで大丈夫だねー」

そういうとゆうちゃんが冷蔵庫から保冷剤を出して渡してくれた。

「頭だから氷より冷水のほうがいいね」
「おー、わかってるねゆうちゃん」
「おまっ…俺保険医!!!ゆりより知識あるわ!!」
「あ、そか!!そうじゃん」
「え、マジで??お前俺のことなんだと思ってるわけ…」
「ゆりチャンノオトモダチ」
「…まぁ、それはそれで構わんけども」

はい完了、と言って私は元の位置にもどり、今度こそプリンを食べる。

「んー!!うまー!!」
「ほんと好きだな、プリン」
「うん好き。ゆうちゃん好きだよ」
「おーそりゃどーも」
「プリンくれるし」
「…だろうな」

そのとき、高尾くんがじーっと見てることに気付いた。

「どしたの?」
「仲いーね、三島センセとゆりちゃん」

私とゆうちゃんは思わず顔を見合わせる。
私はニヤリと笑ってゆうちゃんに抱きついた。

「仲良しだよ!!ゆうちゃん大好きー」
「ちょ、ばか、ゆり!!俺をクビにする気か!!」
「照れんなってー」
「照れてねーよ!!離せこのっ!!」

ゆうちゃんが反撃とばかりに私の頭をぎゅーと押さえつけてくる。

「に゙ゃー!!!縮むー!!」
「縮め!!チビゆり!!」
「チビくないよ!!おっきい方だもん!!このメガネ!!」
「メガネは別に悪かねーだろ!!」
「視力いいのに童顔だから隠してんだろーよ、メガネで!!」
「おまっ、バラすなよ!!高尾くんいんだから!!」

ぎゃーぎゃーとひとしきり騒いで、最終的にはペリッとはがされてプリンを持たされた。

「ほら、プリンやるからおとなしくしなさい」
「…はーい」

私はおとなしく座ってプリンを食べる。
うん、やっぱりおいしい。

「ぶっ…くくくくっ…!!!」
「「え」」

イキナリ高尾くんが笑いだすもんだから、2人して間抜けな声出しちゃったよ。

「あんたら2人面白すぎっしょ…!!くるしっ…!!」

お腹抱えてヒーヒー苦しそうに笑ってる。
あらま、なんかツボっちゃったみたい。




…屋上で突き放したつもりだったのに。
なんていうか…、



高尾くんといると調子狂う。



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