部屋に入った途端、何かが頬を掠めていった。
「遅い」
こたつにすっぽりと収まった彼女が、不満げな顔でこちらを見ていた。
「お前さ、もうちょっと投げるモンとか考えろよ」
壁に強くぶつかって、床に墜落した小さなTVのリモコンを拾い上げる。
無残にもリモコンから単4の電池と何かのバネが飛び出していた。
再び彼女を見たが、それでも彼女は表情を変えない。「ああ、リモコンを買い換えなきゃな」と疲れた脳内にそんな思考が浮かび上がった。
よくもまあ、人の家のリモコンをこんなにバラバラにしてくれたもんだ。それも手を使わずに。
先程、彼女はリモコンを俺に投げつけるのに、手や道具を使っていない。
この時点でかなりの矛盾点が浮上するが、まあ、端的に言うとこうだ。超能力というものを使ったのだ。


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