店を出た俺達は空を見上げた。さっきより、雨足は弱まっている。
俺は昔ながらの茶色い紙袋から「曖昧ドロップス」を取り出した。先程買ったものだ。
やっぱりなんだ?「曖昧」って。
「美味しそうだね、ソレ」
優奈がドロップ缶を指差し、言った。
「食うか?」
「うん。ありがと」
俺はドロップ缶を開け、一つ取り出した。
緑。メロン味だろう。
「ありがとう。リク、金平糖いる?」
優奈は金平糖の袋をちょいと掲げて尋ねた。
「サンキュ。でも、いらない。家帰って姉弟で分けろよ」
優奈は4人姉弟の一番上だ。この金平糖の量だったら、充分分けられるだろ。
「うん、分かった」
優奈はそう言うと、メロン味のドロップを口の中に入れた。
「おいしーよ、コレ。レンも食べたら?」
言われなくたって、食べるさ。レモン味のドロップが食べたくて、仕方無かったからな。
ドロップ缶を手の上で傾ける。出てきたのは、
「よし」
黄色いドロップ。レモン味だった。
早速ドロップを口の中に放り込んだ。……ん?美味しいけど、言葉で言い表せないような味だ。なんというか、「曖昧」。
「あ」
優奈が声を上げる。何かと周りを見渡せば、
「晴れてきた…」
雨雲が切れる。向こうの方に、うっすらと虹が出てるのが分かった。
結構、いいな。雨上がり。
口の中にようやく、レモン独特の味が広がった。爽やかな味。
雨上がりと、虹と、ドロップと。爽やかな組み合わせだ。
今度また、あの駄菓子屋に行ってみよう。


3/3
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -