「あぁ〜…眠ィ」

屋上ででっかい欠伸をしながら校庭を眺める。
この時間はどのクラスも体育をしていないのか、校庭は静まり返っていた。

晴紀に一目惚れしてからサボらなくなったとはいいつつも、全くサボらずに…というのは我慢出来ない俺は、ちょくちょくここでのんびりしている。

「数学だけは無理」

黒板に書かれる数字の羅列を思い出して独り言を呟いた。

大体、あんなもん勉強して将来なんの役に立つんだよ。
サイン?コサイン?
…何かの呪文かっつーの。

屋上の手摺りに背を預けて地べたへと座り込む。
暖かくなってきたとはいえ、この季節に吹く風は未だ冷たい。
自分の身体を抱え込むように二の腕の辺りを摩ると徐々にあったまってきて、それと同時に眠気にも襲われる。

このまま寝てしまおうかと考えていると、屋上の扉がガタガタと不快な音を奏でた。
授業中に見回りをしている先生かとも思ったけど、多分先生達は屋上の鍵が壊れてるなんて知らない。
考えられるのはりゅーたか、若しくは、

「晴紀っ!」

優等生で生徒会長でもある恋人の木村晴紀。
まさか授業中に晴紀がこんな場所に来るなんて思ってもみなかった伊武騎は引き攣った笑顔を浮かべて立ち上がる。

「やべっ、サボってんのバレた」

口に出さなければいいものを、自らサボっていたことをバラす伊武騎。
そんな伊武騎に対し、柔らかい笑みを浮かべる晴紀。

「俺もサボりに来たんだよ」
「ふーん。晴紀も不良の仲間入り?」

さっきとは打って変わって楽しそうな表情で晴紀の肩を組む。
自分から近付いたものの、至近距離に晴紀のセクシーな顔があってドキドキしてしまう。




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