05





相楽の顔を覗き込んでみた。

「っ!」
「ごめん、ちょ、ハズい…先教室行く」

そう言い残して相楽は走って教室の方向へ行ってしまった。
俺は、小さく息を吐き出してゆっくりと歩き始める。

あんな顔してるなんて反則だろ。
俺は相楽が嫌いな筈なんだよ。

俺が教室に戻ると、もう授業は始まっていた。
自分の席に戻るときに相楽のことを見てみると、相楽もこっちを見ていたのか盛大に顔を背ける。
そんな相楽が可愛く思えて顔が綻んだ。


*************


今日は、相楽が学校に来ていない。
どうしたんだろう?

あの日以来、俺はどうしても相楽のことが気になってしまっている。
前も気になってたけど、それは嫌いだったから。
…今は違う。自分でこの気持ちがなんなのかくらいもうわかっている。

「矢口、相楽って今日休み?」
「…休みだけど、なんで?」

紙パックのジュースを飲みながら答える。
目線を一瞬だけ俺に向けたと思ったら、すぐに俺とは違う方へ顔を背けてしまった。

「生徒会のアンケート。相楽ってよく遅刻するから、もし休みじゃなかったら渡そうと思って」
「俺が渡しとこーか?」

背けていた目線を俺に戻してそう提案してきた。
矢口の優しさも嬉しいけど、頼む訳にはいかない。

俺は首を横に振ってニッコリ笑う。

「大丈夫だよ。アンケートの説明もあるし」
「ふーん。ならいいけど」
「ありがとう」

俺は自分の席に座って頬杖をついた。
相楽に渡す予定のアンケート用紙を机の上に広げてそれを見る。
なんとなく、この間の相楽の顔が思い浮かんで頬の筋肉が緩んでしまう。

本当は、もっと前から相楽を好きだったのかもしれない。
それを認めたくなくて無意識に嫌いだって思い込んでたのかも。
今となっては、よくわからないけど…

でも、一つだけわかった。
今は相楽を好きだ。
昨日初めてきちんと話して確信した。


明日、相楽が学校に来たらすぐに話しかけよう。


そう決心して俺はアンケート用紙を半分に折る。















そう、きっかけはここから





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