メモ記



「毒にもなれ薬にもなれ」



・「毒にも薬にもならない」の「なれ」なので、題は「慣れ」ではなく「成れ」のほう。

・ポプラ社版の表紙をパッケージにあしらった珈琲が4/26発売→珈琲のイメージぜんぜんむすびつかない→原作を読み返す→テンションが上がる→読み返した勢いのまま書き起こす。そうやってできたのがこちらです。

・怪人がコーヒーを飲む場面より、怪人がコーヒーに眠り薬をまぜて飲ませる場面のほうが先に見つかる原作。コーヒーの広告イメージとして最悪の起用では?
なおこの薬入りコーヒー、探偵には「苦い」というまっとうな理由で看破されていて、普段コーヒーを飲むひとからしたらそりゃそうだろうなと思ったので、お話のほうもそういった内容になりました。怪人が飲む飲料、ブランデーのほうのイメージが強いので、そのうちアルコール飲料とタイアップされないかしらと期待してしまいます。

・話の構造は、地の文を特定の不特定個人として進める、「探偵の首」と同じ趣向の一人芝居です。明らかにふたりいるように見えるのは、彼らがすぐれた魔法使いである証拠といえるでしょう。自信と呼ぶにはズレていて、ましてや愛であるはずもなく、たとえばそれは信頼と言って、みるのはいかにも愛のようで嫌だとか。

・「きみのところの小僧は、きみの好みを、コーヒーと煙草くらいしか思い当たるものがないと悩んでいたぜ」
このシリーズは時間軸が一本欠けた連作短編のはずですが、ここのセリフはなんとなく一個前の「地獄でなぜ悪い」でのことを言っているようなので、作中世界の時間は停滞しているように見えて実はゆるやかに進んでいるのかもしれません。

・以前、Twitterで「不在の探偵」でチェスのお題をいただき、消化できずに年を越してしまったのが心残りで、机上にチェス盤を配置してみました。この話の怪人はたまに退屈しのぎがてら、鏡に向かって一人遊びをしているのかもしれません。少年探偵はその趣旨がわからないでもないのでやや複雑な面持ち。


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