メモ記



映画備忘録




 良い映画でした。
 端的な感想ですね。もっと何か言葉はないのでしょうか。
 そうですね。……地球が滅亡したり、殺人鬼が殴り込んできたり、大きな事件は起こらないんですよ。そりゃそうです。当然です。そんなことを思うのは、普段そういう映画ばかり観ているという証拠です。
 事件は起こるんです。ぽつぽつと。あり得なくはない、日常の範囲内で。それでも、それぞれの登場人物たちにとって、それは地面に穴があくようなことで、うまく言えないけれど、日常とあしらってしまうにはあまりに重かったりする。本当にうまく言えていませんね。自分の中で言葉がまだ定まっていないのかもしれません。ならばもう少し、感想が定着したら追記しましょう。
 他に、印象に残ったこと。そうそう、風物の移り変わりで時間を示す描写が、すごくきれいでした。庭の梅の木だったり、街路だったり。「四月だ。春である」なんて言っちゃう無粋なあれはちっともありませんでした。1カット1カット、どこを切り取ってもとてもきれいで。鎌倉っていいところなんだなと素直に感動したりしました。単純なんです。それから、海と砂浜がすごく効果的に使われていて印象に残っています。水のある風景が好きなんです。
 言葉はどうでしょう。「神様が考えてくれないんだったら自分たちで考えるしかない」(細部については若干記憶が怪しいです)という台詞がとても印象に残っています。そうだよな、自分で考えるしかないよな、何しろ神様は考えてくれないんだから、仕方ないよな、と。妙に腑に落ちた記憶があります。映画の主要人物ではない一人(いわゆる脇役)が言う台詞だったからこそ印象に残っているのかもしれません。

 原作は読んでも読まなくても。ただし、読んでいた方がわかるという場面も多いです。本編のサイドストーリー的な要素は特にそうだといえるでしょう。それでもきちんとひとつの映画として完結しているので問題ないかと思われます。……なんて書くと、映画評論みたいで嫌ですね。でも観ながらそう感じたのは本当ですよ。あ、この人のエピソードやらないんだ、とか。
 そうです。私について言うと、原作を読んでから行きました。好きだったんですよ。後出しじゃんけんみたく思われるかも知れませんが、好きで、以前からずっと読んでいました。……ただし、人に借りて読んでいたので、「読者である」と断言するのには引け目を感じます。
 だから映画化と聞いて少しの不安もありました。一緒に行った人(私に原作を貸し続けてくれた人、ですね)も原作愛好家で、最初は「観に行かないほうがいいんじゃないか」と互いに牽制しあっていました。けれど観終わった後にはお互い「映画館で観て良かったなあ」なんて、喫茶店で話せるような、そんな映画でした。

 ……ええと、本当に箇条書きですね。観てすぐ感じたことを忘れないように、ちょっとメモさせておいてください。
 何せページタイトル:メモ記ですから。


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