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Sugar70%・chocolate -シュガー70%・チョコレート-


“あの日”から半月…色々あったが、緒方とは面白いほど順調だ。

「一度、工場の方と話してからだろうな…」

「そうだな、俺の方で進めておこう」

「おー、助かる。じゃ、こっちは書類まとめとくな」

一先ず解散と、この場に居た社員が立ち上がり会議室を出ていく中、後輩の朝日がパタパタと駆け寄って来た。

「藍屋先輩、ここ最近すごくいい感じですね」

「は?」

「緒方先輩と!」

「あー…」

朝日がそう思うのも無理はない。
不思議な事に、この所のオレと緒方は嘘のように意見が良く合う。
オレが緒方に合わせてる訳でも、その逆な訳でもないが自然と納得しあってる感じだ。

今までのオレ達はとにかく何もかも真逆で、話し合いになったもんじゃなかった。それがどうだ、今回改めて緒方とチームを組むようになってから話しはスムーズだし、良い所も悪い所もサポートし合えてる。
これが本当のチームだ!と初めて実感してるのだが…。

内心、すっげぇ複雑だった。

「別に、いいんだけどさ…」

「え?」

「何でもねぇ」

問題は緒方との関係。
全ては“あの日”…つまり、緒方とセックスしてしまった日から始まっている。

オレ達は付き合ってる訳でも、セフレな訳でもない。
だが以前よりは確実に緒方との距離が縮まっていて、この関係をどう考えたら良いのか分からずにいた。

仕事で上手くいってるだけに、安易に関係を変えられない気もするし、だからと言って何もなかった事にするのは癪だ。まあ、緒方から何も言わないのであれば、わざわざ白黒つける必要はないとオレにしては珍しく曖昧なまま過ごしていた。




「はぁ〜、疲れた…」

仕事を終え帰り支度をしていると、デスクの上に置いていた携帯が鳴った。

メールが一件、緒方からだ。

『今日の会議で使った書類を送ってほしい』

奴らしい要件のみのメール。今までだって連絡先は知ってる程度でメールのやり取りなんかしなかったけど、緒方は“あの日”を切っ掛けにこういった連絡をしてくるようになった。

(何で自分で持って帰らねぇんだよ…パソコン閉じちまったじゃねぇか!)

まだパソコンを開いてる時ならメールで送れたというのに、こういうタイミングの悪さは相変わらずでムカツク。
さっさと帰りたいし、今からパソコンを起動させるのも面倒くさい。

(明日、自分で勝手に持って行け!)

メールでそう送ると直ぐに返信がきて「今じゃなきゃ駄目だ」と奴のムカツク顔すら浮かぶ文面にブチッと何かが切れた。

「ふっざけんな、どんだけ我儘なんだよ!オレはテメェの使用人でも恋人でもねぇんだよ!!」

どうしてオレが奴なんかに振り回されなきゃいけないんだ。
…と、思いつつ、手に持ってるのは荷物と書類の入った封筒だった。




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