もうとっくに五分は経ってるはずなのに、一向に目が覚めないのは何故だろう。
「はぁ…あっ、お願いですから、それ以上は…」
気付けば裸にされて、胸の突起を舌で弄ばれる。
乱暴なのにどこか適格な愛撫に体が反応してしまう自分が嫌だ。
「嫌がられるとやりたくなる気持ち、お前にも分かるだろ?」
「っん…ぅ…」
その気持ちは良く分かる。もし世莉さんが今の俺と同じ反応をしたら、間違いなく興奮するだろう。
けど、それとこれとは話が別だ。
「さーて、ちゃんと可愛がってやらなきゃな…」
「何を――ひッ!?」
ここに来てから一向に体の力が入らない俺は、まともな抵抗など一切できず非力な力で俊さんの胸板を押してるだけだ。
それが逆に俊さんを煽っているとも知らず、今だに抵抗する俺に俊さんは片方の太腿の裏を手の平で掴み持ち上げてきた。
「じょ…冗談ですよね?」
「一応本気だけど?」
もう片方の手が俺の下肢に伸びてきて、これからされる事に這いつくばってでも逃げたくなった。
「やめてください!それ以上したら怒りますよ!!」
「ざーんねんでしたー」
「やめ――痛ッ…た…!」
今まで誰にも触られた事のない所に指を入れられて痛みが走る。
違和感と痛みに体を捩ると、俊さんは更に深く指を押し込んできた。
「痛い…うぅ…痛いですよ…」
「これはお前の夢だからな。痛いイメージがあるって事じゃねぇ?」
「う…っ、んんー…」
言いながら指を抜き差しされて、徐々に感覚が変わっていくのが分かった。
内壁を指で擦られ、刺激にすっかり硬く芯をもった自身にビックリする。
まるで世莉さんが反応するそれと同じだと思い、どんどん熱が込み上げてきた。
「はぁ、はっ、あ…」
世莉さんはいつもこんな気持ちなんだろうか。
恐怖と快感が一緒に襲ってくるような、初めて体験する感覚。
俊さんの長い指が俺の中を刺激しながら自身を扱いてくるのが気持ち良くて、すっかり抵抗する事を忘れてしまった。
「お前がいつもセリにしてる事だ。どうだ?アイツの気持ち、少しは分かるか?」
「は、ぁ…世莉さん…」
(ああ、世莉さん――!)
たとえ夢の中でも俊さんとこんな事をして…世莉さんを裏切ってしまった。
しかしアナタが好きだという気持ちは変わりません。
ただ、この刺激は――
「あっ、あ、はぁっ…」
「お前、マジで綺麗だな…」
うっとりするように言われて驚いてしまうと同時に、引き抜かれた指の代わりに俊さんのモノが押し当てられる。
「安心しろ、これは夢だ…」
夢――
そう思ったらもこの有り得ない関係を、簡単に受け入れられるような気がした。
「――あ、あっ、あぁ…ッ!」
「っは、凄ぇ…どんどん入ってく」
深々と貫かれた体をガクガクと揺さぶられ、俊さんの昂ぶりが俺の中を圧迫する。
「うっ、あぁ…俊さ…っあ、もう少し優しく…」
今自分がしている腰の動きが普段のものと全く別で、甘く捩るように動いてしまう。
聞いた事のない自分の声が喉から出る度に、俊さんを煽って益々深く穿たれた。
「ああ?自分で腰動かしてねだってるくせに、よく言うよな。もっと激しくしろって言ってんのと同じだろ?なぁ?」
「――ああッ!や…あ、あっ…」
律動を速められ、追い上げるように手淫をされる刺激に何も考えられなくなっていく。
世莉さん、ごめんなさい。
俺は…
オレは――
――…莉さん
「世莉さん、起きてください」
「ん…」
京介に呼ばれて目を覚ます。
目を擦り、何度か瞬きをしていると京介が「おはようのキス」というのをしてきた。
「うおぉ…すげぇ体が怠い…」
「大丈夫ですか?」
「おー…」
寝る前に京介とエッチしたせいか、やたらと体が重い。
けど、それだけじゃないような気がするのは何故だろう…。
「なんかさ、お前の夢見たような気がする」
「え、本当ですか?」
「うん…でも思い出せねぇ」
「はは、世莉さんの夢に出られたというだけで幸せですよ」
そう喜ぶ京介に何故か「すまん!」と謝りたくなるような罪悪感が過る。
何だか凄く疲れる夢を見た気がした…。
「京介、もう少しだけ寝かせて」
「いいですよ、三十分したら起こします」
「サンキュー…」
目を閉じるとすぐに眠りについたのを感じた。
そしてまた、オレの長い五分が始まる…。
世莉夢オチ。すみません