「力、抜いてくださいね」
まるで女の子扱いだ。
仰向けにされて、すっかり縮み上がった自分のを見ながら京介に身を任せるしかないのが辛い。
(うう…怖ぇ…)
「や…優しくな?痛くすんなよ」
「怖いんですか?可愛い…」
「だから、お前は何でそんな事を――ひっ、ぁ…うぁ…」
ゆるゆると入口を指で撫でられ、くすぐったいような、ピリピリと体が疼くような何とも言えない感覚に眉を潜める。
京介の事だ、指を入れる時は「入れますよ」とでも言ってくるだろうと構えていたが、何の前触れもなくプツリと埋め込まれて体が跳ねた。
「――いっ…!?テ、テメェ、いきなりかよ!」
「言ったら逆に辛いかと思ったので…じゃあ、動かしますよ?」
「ちょ、待っ、ひっん…あっあ、ぅあっ…」
内壁を指の腹で刺激されて、びりびりと体に電流のような感覚が走る。
頭がぎゅうっと締め付けられて一瞬真っ白になりかけた。
「はぁ、はっあ…何これ…なんっ、ふぁ…やっ…」
「世莉さん、すごく厭らしい…」
違和感と痛みが徐々に消えていく…。
京介がまた余計な事を言ってたような気がするけど、言い返せる状態ではなかった。
ぐちゃぐちゃとローションかオレのか分からない卑猥な音が耳を犯し、今まで誰にも触られた事のない所への刺激で縮み上がってた中心に熱が集まる。
「あっあっ、んん、京介…ッあぁ、や…んぁあっ」
熱に浮かされた思考の中でもオレのプライドは高いままで「このままされると、おかしくなる」とは口が裂けても言えない状況にジワリと涙が溢れる。
手淫と後ろを掻き混ぜられる刺激に自分でもビックリするくらい高い嬌声が出て、自然と揺れる腰に京介は更に激しく指を動かした。
「ああっも、んぅあぁ、っやぁ…抜いて…出るッ、出ちゃうから!」
京介の指がずるりと抜けて、ぐったりする間もなく四つん這いにされる。
「っは…すみません、もう挿れます」
「ひぁっッ──あぁっ!」
指とは比べ物にならないほどの圧迫感。
痛いとか息ができないとか色んな感覚が一気に襲ってきて、訳が分からず頭を振る。
最初はぎこちなかった京介の動きも次第に慣れてきて、少しずつ奥へ進めていく内に抽挿を速めてきた。
「世莉さんの中、凄く気持ちいいですよ…」
「だ、だから、っあぅ…そういう事を、言うなバカッ!」
「何故です?俺の気持ちは伝わってるでしょう…アナタに触れたくて、たまらなかったって…ッ」
オレの中ギリギリまで引き抜き、一気に最奥まで突き上げられた。
あまりにも強い刺激に身悶える。
「――あっやぁ、ひぁっ、あっ…」
ガクガクと穿たれ激しさを増す律動に四肢が戦慄く。
京介の動きに合わせて腰が揺れ、乱暴だけど凄く的確なのが気持ち良くてまた直ぐにイキそうになった。
「やぁ…っは、んぅ、も…イクッ、イッ…あぁあっ!」
ゾクゾクと肌が粟立つ。
振れてもいないのに込み上げてくる衝動を抑えられなくて欲を吐き出した。
はぁはぁと肩で息をしながら横になる。
(今、何時だ…?)
この眠気と気怠さは結構いい時間になってるに違いない。
弛緩した体がいう事をきいてくれなさそうだから、目で時計を探していると京介の顔が近付いてきた。
「ん…」
優しく触れて、ゆっくり離れていく唇。
汗で張り付いた髪を撫でるように払ってくれる京介に、新しい感情を抱いた気がした。
(甘えてもいいんだな…)
そう思ったらスッと気持ちが軽くなった気がした。
セックスしたら「俺のものになれ」と言われるんじゃないかって少し思ってたから…。
オレにとって都合のいい関係なのに、京介は何も言わず安らげる場所を与えてくれる。
それがオレには最高に心地よくて、できればこのまま…少しでいいから甘えさせてほしいと思った。
「悪い…寝ていい?」
「いいですよ」
そう言って立ち上がろうとする京介の腕を掴んで引き止める。
「一緒に…横にいて…」
「…はい」
オレって、こんなに甘えん坊だったかな。
睡眠不足で少しふらついた頭で考えてみる。
(ああ…そうだった)
そういえば、オレは人がいないとダメな奴だったような気がする。
今まで仕事ばかりで、どこにいても「世莉」を演じてきたから忘れてた。
「なぁ…」
「なんですか?」
「オレさぁ…本名…京介っていうんだよね…」
「えっ!?ほ、本当ですか?」
「ほんと…みんなには、内緒な…」
ダメだ…眠くて頭が働かない。
京介が何か言ってたような気がするけどオレは既に夢の中で…。
すごく嬉しい夢を見たような気がした。