自分が誰かに恋してるって、いつ気付くんだろう。
可愛いなって思ったり、好きだなって感じる事はあった。
一緒に居たいから傍にいて、抱きたいからエッチして…こうして人並に恋愛してきたつもりだった。
けど、実際それを恋と呼ぶには物足りない事を、俺は知らない。
だから今、この気持ちが少し怖いと思ってる。
「あっあ…ッんぅ…セト…」
「しっ、あんまり声出すと俊、起きちゃうよ?」
深夜、お酒を飲んで帰ってきたセトが、一緒に寝ようと俺の布団の中に潜り込んできた。
さっき眠りについたばかりの俺は、寝ぼけながら布団のスペースを空ける。
酒臭い…と、思ったような気もするけど、本当に眠くて無意識にセトに抱き着いていたようだ。
セトは俺にキスをして、体をまさぐり始める。
眠かったはずなのにどんどん気持ちよくなって、目が覚めた頃には熱で思考がぼやけていた。
「ひぁっ、あぁ…!」
セトの指が俺の中をグチャグチャにかき混ぜる。
酔っているせいか、いつもより乱暴で激しい愛撫は少し物足りない。
欲しい所を触ってほしくて腰をうねらせると、不意にセトの指がズルリと抜けた。
「挿れる」
「え…もう?」
「そう、ダメ?」
まるで俺が「ダメ」と言えばやめるような言い方をしながら、セトは射れる気満々に自分のを押し当ててくる。
自分勝手なセックス。人の眠りを妨げてまで、するような内容じゃないだけに怒りを感じる。
けど体は別だ。弄られたせいで中途半端な熱のやり場に困った俺は「勝手にすれば」と投げやりな言葉をぶつけた。
「ん…はぁ…」
セトは射れる前に必ずキスをする。
相手が誰であっても同じことをするんじゃないかと思う程、癖になっているようだ。
(酒くせぇ…)
酒は嫌いじゃない。けどシラフの時に嗅ぐこの匂いは好きじゃない。
つい顰めてしまう顔の後、膝の裏を掬うように脚を持ち上げられる。
セトはゆるゆると自分のを俺の入口に擦って、グッと腰を前に突き出した。
「ぅあっ、はぁ…ああっ!」
徐々に…体内に入ってくるセトのそれに、上手く呼吸がでず息を詰める。
俺はセトとのセックスでこの瞬間が一番好きかもしれない。
射れる瞬間、それが気持ちいい。
「…っは、やっぱ琥太郎ん中サイコー」
体重を掛けながら奥を突くセト。
俺もセトの動きに合わせて腰を揺らす。
内心…「やっぱり」ってどういう事?と思いながら。
セトは自覚ないだろうけど、やっぱりという言葉は他と比べた時に出てくるもんだと思う。
過去の相手と比べるにしては少し不自然で、何となく最近他の奴とヤッたんだな、と思った。
(この男は…)
どこまでも自由。
けど、それを縛る事は誰もできない。