スマートフォン解析 幸佐 短編 | ナノ
「……旦那、その言葉何か意味があるの?」
「……今日、佐助に放り出されてから奥州に行ったのだ。そこで政宗殿から異国の伝統行事を教わってきた」
「……あの眼帯野郎……」

佐助の脳裏には忌々しい奥州の竜の姿が鮮明に映し出されていく。
多分、純粋な幸村に何か吹き込んだのだろう。佐助にとって、政宗という存在は幸村の心を掻き乱す要注意人物であった。
それ故に、政宗が好意から教えたかもしれないという考えは無いらしい。

……あとで右目の旦那に告げ口してやる!!

佐助は心の奥で硬く誓った。

そんな佐助に、幸村は更に言葉を続ける。
それはまるで自分の意志が通じず何処か拗ねてしまった幼子のようで、佐助は怒る気にはなれなかった。

ただ黙って彼の話を聞き時折慰めるように「ごめんね、旦那」と声をかけ頭を撫でた。

「……政宗殿の話によれば、十月末に”鳥喰おう鳥”と云って相手が菓子をくれない場合は、悪戯をしてよいとの事なのだ」
「そっか……旦那はずっとそれが伝えたかったんだね。気がつかなくって御免ね」
「佐助……鳥喰おう鳥でござる」

ようやく意志が通じたことに喜びを露に表情を明るくする幸村に、佐助は何処か困ったような笑みを浮かべた。

不思議そうに首を傾げる幸村に、佐助はニンマリ口角をきゅっと上げると降参とばかりに横たわったまま両手を両肩に並べた。

「御免ね、旦那。俺様今お菓子手元にないわ」
「そうか……ならば、明日また鳥喰おう鳥と云うから」

云い掛けた言葉を込みこむように、佐助は幸村の唇を自分の唇で塞いだ。
ゆっくり離れていく顔を覗き込むように見つめ、忍びは意地の悪い笑みを浮かべてこういうのだ。

「お菓子がなければ悪戯するんでしょ?だったら、俺様、旦那になら悪戯されてもいいよ」

***

prev bkm next

[ top ]



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -