ツー・オア・スリー・デイズ・アフター

/ツー・オア・スリー・デイズ・アフター
 the later

 大きな瞳に涙をいっぱいに溜めて。どうにか歯を噛み締めて耐えているガキが二匹・・ああハイハイ、睨むなテツ、子供が一人に、やっぱりガキが一匹。
 さきほどから、また会えるよ!きっとすぐだよ!また遊ぼうね!また日本帰るから!またアメリカ来るから!・・・これの繰り返しである。
 空港の見送りロビー、正真正銘の4才児と、いい歳の大人の会話。
 チビも黄瀬の服を握りしめて離れる様子を見せないが、黄瀬も大概、チビの頭を撫で頬を撫で、抱き寄せ手を握り、と離れる気配がない。
「・・おい、いい加減にしろ。」
 相変わらず、JFK空港にはデカイ黄瀬の香水のポスターがある。アレと、コレが。同一人物なんだってよ信じられるかお前ら。
 俺の呆れた声音の促しに、そしてチビの手をテツが引き寄せたことから、ふたりもようやく諦めたようにしぶしぶと離れる。
 チビの片手には、ひとつの紙袋が握りしめられている。中身は適当な菓子と、そして黄瀬のブックである。
 お土産になにが欲しい?と尋ねたところ、チビが真っ先にあげたのがそれであったらしい。なので、黄瀬も戸惑いつつも嬉しそうに、新しいファイルを取り出してきて色々写真を詰めていた。そのなかには、黄瀬のモデル写真だけでなく、なんでか俺の写真も、そしてチビと一緒に撮った写真や、あとは黄瀬がこれまで撮ってきていた世界中の風景写真なんかも挟まれている。ブックというより、よりプライベートなフォトブックだ。
 今一度、ぎゅっとそれの入った紙袋を抱き締めたチビは、涙をこらえながらも、元気よく言った。
「またね!きーちゃん、だいちゃん!」
 泣きそうになりながらも、晴れやかな顔で笑うチビと、テツとさつきの家族を見送りながら。
 俺たちも揃って大きく手を振り返すと、手を繋ぎ、なんの屈託もなく、笑った。





 ありがとうございました!


/チビが、最初ちょっとだいちゃんをニガテというかよそよそしかったのは、
 テレビの動物番組で、野生動物を見守るには着かず離れずの距離を保ってあげるのが一番!って言ってたからです。
 チビの中では、ライオンさん、ヒョウさん、トラさん、だいちゃん、な認識なんです。

/タイトルの「ジン・フィズ」は、カクテルの名前で、
 ドライ・ジンにレモン、ソーダ、砂糖で出来てます。
 レモンはチビ、ソーダは黄瀬くん、砂糖は以外や以外の青峰っち、で、ドライ・ジンは刺激的ながらも普遍的な、NYという舞台をイメージしていたり(後付けくさいとか・・言わないで・・・・!)
 今回のお話は青峰くんがもう、甘っ甘なので、青峰=砂糖ってところに一番納得してたりします。



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