ココア


ああ。なんでこんなことになってんだ。

俺はそう考えることで自分の置かれている現実から目を逸らすことにした。

とりあえず今の俺の置かれてる現実ってのを簡単に表すと、“イケメンな親友兼幼なじみに監禁されてる”になるんだけど。
うん全然理解できないよね。俺もわかんない。

一から説明すると長いからはしょって説明すると、まず第一に俺・中田良樹(ナカタ ヨシキ)は顔面偏差値中の中な平凡腐男子なんだよね。
一応言うと、無自覚属性じゃなくて列記とした平凡君だから。そして『あれ、お前笑うと可愛いな』とか言われたことない笑い顔も平凡な人間。
まあそんな俺は王道学園に通ってるんだよね。

けど腐男子受けによくある王道見たさで猛勉強したとかじゃなくて、実家が金持ちだから元々幼稚園から通ってるんだけど。てか、俺がBLに目覚めたのはこの環境の所為(おかげ)だから。
この学園って王道通り幼稚園から男しかいなくて、あまりにも男だらけで楽しみがないから仕方なく男同士のカップルに少女漫画的胸キュンを求めたらなんか、いつの間にかBLに目覚めてたって感じ。

で、小五にてボーイズラブに目覚めた俺も今は高校二年生までに成長したわけなんだけど、そこになんと転校生が来たんだよ。5月の始めに、俺のクラスに。
王道学園に通う腐男子として王道転校生に興奮しないでどうすんだって事になるわけで、そりゃまあ大袈裟に興奮した俺は王道君に近付いて近くから萌えを観察しようとしたわけ。

あ、もちろん俺は平凡だから腐男子受けにはならない。イジメられつつ最終的に総愛されな脇役受けにもね。だって俺の実家生徒会に次ぐ権力持ってるから、もし制裁ルートに入ろうとしても親衛隊のチワワも手出せないからね。
それに、ありきたりな台詞だけど俺は腐男子なだけでゲイではないからこの学園の誰かを好きになるとかありえないし。生徒会の人達は確かにカッコイイとは思うけど、羨ましいってだけで抱いてーとか抱かせろーにはならないから。

だから巻き込まれ平凡になんてならないから大丈夫!と意気込んで近付いたのはアンチ系だった王道君。
なんと運の良い事に王道君の隣の席になった俺はテンプレ通り親友認定されて色んな場所に引っ張り回された。

王道君の声の大きさや手を掴む握力の強さには困った。
だけど、双子補佐による“どっちがどっちでしょーかゲーム”や、ワンコ書記に言う“お前の言いたいこと、ちゃんと分かってるぞ!”や、チャラ男会計に言う“セフレなんて作って寂しいのか?!これからは俺が一緒に居てやるからそんなこと辞めろよ!自分を大切にしろ!”も近くで見れた。
そしてなにより、王道学園物語における最初の目玉イベ、“会長からのチッス”を生で見れたからそんな些細なこと全然我慢できた。


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