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作戦プラン


刹那と別れてから数時間後、アレルヤはスメラギのもとへ向かった。その手にはメモリー

「どうしたのアレルヤ、ディーアも。もしかして君たちも怒ってるの?」


スメラギの室内に入った途端、鼻についたのはお酒の匂い。
ツンとしたそれに、アレルヤは少しだけ眉を潜めた。


「そうね、散々な目に遭わされたんだもの。ごめんなさいね・・・ダメな戦術予報士で」

「酔ってるんですか?」

「いけない?」

「少し控えた方がいい」


アレルヤがそう言うけれど、スメラギは「嫌よ」と言って手にあるグラスを揺らした。


「私はこれがないと生きていけないの。・・・ねえ、用がないなら・・・、」

「スメラギさんとヴェーダに、進言したい作戦プランがあります」


スメラギの言葉を遮ってアレルヤが口早にそう言う。
そのままデータの入ったメモリを手渡した。
反射的に手を伸ばしてそれを受け取ったスメラギは「作戦プラン?」と問うた。


「戦争を幇助する、ある機関に対しての武力介入作戦。その機関は、僕の過去に関わっています」


スメラギはアレルヤの言葉を聞いてちらりとディーアを見る。

彼女はディーアの体についてを知っている。

王留美がスメラギには伝えたらしいが、どこでそうなっていたかは知らない様だった。
ディーアはそんな彼女に曖昧な笑顔を返すことしかできなかった。


「詳しい事はデータに纏めました。酔いが醒めた時にでも見ておいて下さい」


確か、人類革新連盟軍超兵特務機関。
アレルヤとソーマが過ごしたであろう、人革連の施設。
そこをアレルヤは破壊しようというのだ。
戦争を幇助する、人間兵器を生み出す施設を破壊するプランをスメラギにたった今提出した。


「この悪夢のような連鎖を僕が断ち切る。今度こそ、僕の意思で・・・」







「作戦プラン、見させてもらったわ。あなたの過去も」


そう言いスメラギは表情を歪ませた。
戦術予報士として時には非情なミッションプランを出しても、やはり彼女は優しい人間だ。


「確かに武力介入する理由があるし、ヴェーダもこの作戦を推奨してる・・・でも、いいの?」


あなたは自分の同類を、
そこで言葉を止めて、スメラギはアレルヤを真っ直ぐに見据えた。

構わない。僕はそう決意したのだから。

アレルヤはそう思い、直ぐに頷いた。


「構いません」


思いのほか、冷たい声が出た気がする。


「もう一人のあなたはなんて?」

「聞くまでもありません」

「本当にいいのね?」


念を押すように聞いてくるスメラギ。

ディーアもこんな風に僕に問いかけてきたっけ。
そう思いながら思わず自嘲的な笑みを浮かべていた。


「自分の過去ぐらい、自分で向き合います」


そう言うとスメラギは肩を竦めて笑った。
「分かったわ」と言った彼女はデスクに手を置く。