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020


「「「休館日!!??」」」
「あー、これは予想外だな・・・・・・」
「おいおい・・・・・・間が悪すぎだろ」


珊瑚の海へと出向きアトランティカ博物館まで来たが、本日は休館日というお知らせが出されていた。「今日はリーチ兄弟からの追撃は無かったが。まさか、これを知って?」デュースがそう言うと「いや〜・・・・・・それはどーだろな」とエースが微妙な顔をする。「ここまで来ておいて、尻尾巻いて帰れってのか?」悔しそうな顔をするジャック。「・・・・・・ちょい待ち。オレに考えがある」他の手を考えていた夜月よりも先に、エースが申し出た。

5人はアトランティカ博物館の入り口付近に近寄り、人魚の警備員を盗み見た。


「よし。んじゃ、俺が人魚の警備員の気を引いてるから。お前たちはその間にこっそり裏から忍び込んで写真拝借してきて」
「1人で大丈夫?」


心配する夜月にエースはニッと笑う。「ジャックは馬鹿正直だし、デュースは途中でボロ出しそうだし、お前ひとりだと危なっかしいし。ま、オレに任せとけって」わしゃわしゃ夜月の頭を押し付けるように撫でると、エースは警備員のいるほうへ向かって歩いて行った。

「うわ〜っ、マジかよ!?」エースは平然を装い大声を上げた。「ん? キミ、どうしたんだい?」それに気づいた警備員がエースに近寄る。「今日って休館日なんすか? 信じられねぇ。ココにくるの、めちゃくちゃ楽しみにしてたのに・・・・・・」エースはスラスラと嘘を並べて警備員を騙す。その様子を4人は隠れながら眺めた。「アイツ、よくあんなスラスラ嘘が口から出てくるんだゾ」と言うグリム。「ある意味才能かも・・・・・・」続いて夜月が言った。「完全に警備員が会話に気をとられてる。今のうちに行くぞ!」ジャックに従い、4人は急いでアトランティカ博物館へ忍び込んだ。

運がいいのか、中に入った後も警備員には合わなかった。博物館というだけあって、中にはいろいろなものが飾られてた。


「10年前のリエーレ王子の来館記念写真は・・・・・・」
「・・・・・・あ、アレじゃないかなデュース」


目についた写真を指してデュースのそでを引っ張る。近寄ってみると『リエーレ王子、ご学友とご来館』と書かれていた。「エレメンタリースクールの遠足の記念写真みたいだな」写真を見てデュースが言う。「ちっせー人魚がいっぱい映ってるんだゾ」グリムの言う通り、子どもの人魚の集合写真だった。「アイツ、なんでこんなもの取ってこいと指定したんだ」ジャックの疑問はもっともだ。なんでこれが欲しかったのだろう。「とにかく、拝借して早く出よう」夜月の言葉にジャックが写真に手をかけるが、警報すらならなかった。


「・・・・・・ん? お前たち、そこで何をしてる!?」
「ふな"!? やべぇ、警備員だ!」
「気は乗らないが仕方ねぇ、少しの間眠っててもらうぜ!」


たまたま前を通った警備員を押しのけて、写真を持って博物館を出る。「エースのヤツ、まだ喋ってるんだゾ!」グリムの言葉に入り口付近に目を向けると、エースは楽し気に話していた。「初対面の相手とよくあそこまで会話が持つな」デュースが思わず感心する。「目的は達成した。さっさと引き上げよう」ジャックがエースに合図を出すと、それに気づきエースが会話を切り上げてこちらと合流した。


「そっちの首尾、どうだった?」
「写真はゲットしてきた! 楽勝だったんだゾ」
「んじゃ、早いとこ学園へ戻ろうぜ」
「ああ。この写真をアズールに叩きつけてやろう」


さっそく写真をもって学園に戻ろうとしたその時、2つの長い影が走った。「・・・・・・! 待て」影を追うと、人魚の姿をしたジェイドとフロイドがいた。


「あ〜〜・・・・・・いたぁ、小エビちゃん」
「ごきげんよう、みなさん。また性懲りもなく海の底へいらっしゃったのですね」


「どうやら写真を手に入れられたご様子」手に持った写真を見てジェイドが言う。「偉いねぇ。いい子いい子。でもそれ、持って帰られると困るからオレたちと日没まで追いかけっこしよっか」楽しげに笑ったフロイドが言う。「やっぱ、そうくるよね〜」エースは続ける。「日没まで追いかけまわしてタイムアウトさせれば、イソギンチャクは解放しなくていいしこの写真も手に入るもんな!」エースは言う。「フフフ・・・‥最小限の手間で、最大限の利益を得る。それが、賢いビジネスというものですから」ニヤニヤした顔で言うジェイドに「本当にあくどいな、てめーら!」とジャックが怒鳴る。


「で、ヨヅキ。こっからどうする気だったわけ?」
「お前のことだから、考えナシに来たわけじゃないんだろ?」


さも当たり前のようにエースとデュースが夜月に向き直った。もうここまで付き合いも長い。ここまで夜月の作戦で助けられている。2人には夜月への信頼があった。夜月は頷いて指示を出す。


「写真を持って、しばらく逃げ回ってほしいの」
「へぇ、オッケー」
「なるほど、単純でいい」
「ここまできたら、やるっきゃねぇだろ!」


エースとデュースはニヤッと意地悪な顔をして笑い、ジャックもそれに従いマジカルペンを構えた。