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018


「今日は君たちにレオナさんの部屋の掃除をしてもらうッスよ」サバナクロー寮に戻ればラギーに雑用を押し付けられる。「宿代分、きっちり働けよ草食動物ども」レオナはベッドで寝っ転がってそんなことを言う。グリムは文句を垂れるが、泊めてもらっている分そこは飲み込まなければ。

まずは脱ぎっぱなしの服を洗濯籠に入れて、机の上を片付ける。アクセサリーは引き出しに、本は棚に。あらかた片付いたら雑巾がけを。脱ぎっぱなしの服に夜月は手をかけ、一方グリムは机に置かれた高そうなアクセサリーを見て盗もうとしだす。「こーら、ダメ。それはオレが狙って・・・・・・じゃなかった。なくなったら、すぐバレるんスからね」ラギーは素早くグリムからアクセサリーを取り上げる。


「レオナさん、貴重品は出しっ放しにするのやめろっていつも言ってんのに。盗られてからじゃ遅いんスよ」
「るっせぇな。別に盗まれたって大したもんじゃねぇし、俺から盗む度胸があるヤツは盗めばいい」


「大したもんだから言ってんスよ!」まったく、とラギーは呆れた声で言う。服を片付けながら3人の会話を聞いていた夜月は、その言葉にハッとなった。


「・・・・・・ああっ!」


思わず大声が出てしまった。「ウワッ! どうしたんだゾ、ヨヅキ」突然の大声にグリムがビックリとする。「急にでけぇ声出すんじゃねぇよ」レオナは不快そう言う。


「そうだ、無敵じゃないから金庫に入れるんだ!」
「はぁ・・・・・・?」
「・・・・・・ハ、ハハハ! そうか、なるほどなァ!」


「テメェ、面白いこと考えるじゃねぇか」ニタリと笑ったレオナが夜月に視線を向ける。「ええ? 面白いって、どこがなんだゾ?」けれどグリムとラギーは意味が分からず、首を傾げた。「つまり・・・・・・」そこから、レオナと夜月による予測の答え合わせが始まった。

「なるほど〜なんだゾ! 弱点が分かった今、さっそくオクタヴィネルに殴り込みに・・・・・・」話を聞いたグリムがさっそく行動を起こそうとするが「問題が1つあるッス」と言うラギーによって止められる。「夜月くんの予想が当たってたとしたら、リーチ兄弟が必ず妨害してくるはず」ラギーは続ける。


「正直、金庫よりすげー攻略が難しいと思うんスけど」
「クソ〜、もう少しでなんとかなりそうなのに」
「つまり、あの2人をどうにかできれば・・・・・・」


ちらりと夜月がレオナを見た。レオナはピクリと耳を動かし、面倒そうな顔をする。「オイ、お前が何考えてるかだいたい予想がつくが・・・・・・俺は、絶対に手を貸さねぇぞ」レオナは続ける。「厄介ごとに巻き込まれるのはごめんだからな。タコ野郎絡みなら、なおさらだ」言い切るレオナに続き「無理無理。諦めることッスね」とラギーも続けた。「ふん、つめて〜野郎なんだゾ」そんな2人にグリムは不満げな顔をする。


「・・・・・・あ、良いこと思いつきました」


夜月はニッと口端を上げて目を細めた。いままで気持ちのいい笑顔や微笑みを浮かべることは多かったが、今のように怪しく含んだ笑みをしたのを見たことはない。グリムとラギーそしてレオナでさえも目を丸くした。ニコリと笑った夜月が口を開く。


「というわけで。私と取引しましょう、レオナさん」