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012


放課後、5人は鏡の間に来て渡された魔法薬の瓶を見詰めていた。「このアズールがくれた魔法薬、本当に水の中で呼吸できるようになるのか?」デュースがそれを見詰めて聞く。「ラギー先輩もそこは信用していいって言ってたし」と夜月が答える。「疑ってても始まらねぇ。とりあえず飲んでみるしかねぇだろ」ジャックがふたを開け、持参したコップに少しづつ入れる。「んじゃ、せーのでいきますか。せーのっ!」エースの合図に合わせ、全員が一斉にコップを傾けた。


「ウッ・・・・・・こ、これはっ・・・・・・」
「う・・・・・・不味い・・・・・・」
「うげぇ〜。干しガエルと腐ったキノコを混ぜたみたいな味がするんだゾ!」
「どんな例えだ。ゲホッ・・・・・・たしかにすごい味だが・・・・・・」
「魔法薬のマズさってわりと深刻な問題だと思うんだけど、なんで大人はみんな放っとくんだろーね‥‥・・・うっぷ」


味は酷いものだった。こんなもの飲んでられない。「・・・・・・? なんか、息苦しい」すすとだんだんと息がしづらくなってきたのに気づいた。「肺が水中呼吸に対応してきたってことか?」ジャックが言う。「やべ、ホントに苦しくなってきた。早く海ん中行こーよ!」エースの言う通りだ。5人は急いで鏡をくぐって珊瑚の海へと向かった。



〇 ● 〇



鏡をくぐればそこのは海の底だった。けれど息苦しさもなく、しっかりと呼吸ができている。「マジで水の中で息ができるんだな」ジャックが感嘆する。「うわ、一面珊瑚礁、すっげー眺め!」初めて見る眺めにエースが声を上げた。「すごい、海ってこんなところなんだ・・・・・・」色とりどりの珊瑚と海からの景色。夜月も目を見開いて驚く。「ゆっくり景色を楽しんでるヒマはねぇぞ。早いところ目的の場所へ向かおう」ジャックにそう言われ、5人は海の中を歩き始める。


「おっ、なにか見えてきた」
「あれ、アトランティカ博物館じゃね?」


エースとデュースが見つけたのを見ると、大きなお城みたいな建物があった。「ふな! 足が魚みてぇになってるヤツらがいっぱいいるんだゾ」グリムが指をさす。「人魚、だね」片手に槍のようなものを持った下半身だけが魚の人たち。まるでおとぎ話の中みたいだ。「マジで水の中で生活してる奴らがいるなんて」この世界で生きてきたジャックたちでも珍しいらしい。


「あ〜〜! きたきた、小エビちゃんたち」
「ごきよう、みなさん。いかがです? 海底の世界は」


長い影が視界をよぎったと思えば、ジェイドとフロイドの声がした。「あ、あんたらなんだその姿は!?」双子の姿をみて驚愕する。2人も人魚の姿をしていた。「何って、”いつもの姿”だけど? だってオレたち、人魚だもん」フロイドが当たり前じゃんと答える。「地上にいるときは魔法薬で姿を変えているんです。この尾ビレでは陸を歩けませんからね」ジェイドが続ける。「ってか、めちゃくちゃな長っ! 前兆何メートル!?」驚くエースに続き「ウミヘビか何かか!?」とデュースも続ける。「残念、ウツボでぇす」どうやら2人はウツボの人魚らしい。


「どうしてお二人が此処に居るんですか」
「あはは。そんなの、オマエらの邪魔しに来たに決まってんじゃん」
「そう簡単に条件をクリアされては困りますからね」


思っていた通りだ。ジェイドとフロイドは写真を取られないように邪魔をしに来た。なんとか2人を退けようとジャックたちが魔法を放つが、ジャックはともかく得意魔法を封じられたエースたちはまともに戦えない。「アイツらに魔法が当たる直前で、勝手に軌道が変わってる!?」ジャックが声を上げた。「へぇ、ウニちゃんはよく見てんじゃん」「やはり、陸の獣は目がいいですねぇ」フロイドとジェイドは感心する。「何でオレらに魔法が当たらないのか教えてあげる」フロイドが口を開く。


「オレのユニーク魔法『巻きつく尾バインド・ザ・ハート』は、お前らの魔法が失敗するように、横から邪魔できちゃう魔法なんだー。面白いでしょ」


なんて反則技なんだ。これじゃあまともに戦えない。「ほらほら、早く逃げなよ。捕まえたらオレの尾ビレでギューっとしちゃうよ」フロイドとジェイドは楽し気に迫りくる。「一度戻って、作戦を練りなおそう!」夜月が声を上げる。「ああ、それがいい」ジャックも頷き、5人は2人から逃げるように学園へ戻っていった。


「そんな貧相な尾ビレあしで、海の中の人魚オレらに勝てるわけないじゃん」
「またのお越しをお待ちしております」


逃げる5人の背をフロイドとジェイドは眺めていた。