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9


エースとデュースを連れ、グリムと一緒にオンボロ寮へと戻った。

自分の部屋と談話室だけは掃除をできているが、他の部屋はいまだにクモの巣とほこりが待っている。泊まるなら掃除をしろというグリムにエースは嫌だと声を上げたが、デュースは素直にうなずきエースを引き摺って部屋の掃除をした。とりあえずひと部屋だけ掃除して片方がベッド、片方がソファで寝ればいいだろうと2人はひと部屋だけ掃除をした。

掃除を終えた後は4人でトランプをして遊んだ。トランプでグリムは遊んだことがなかったため、簡単なババ抜きぐらいしかできなかったが、楽しい時間だった。トランプが得意なエースの一人勝ちが延々と続き、負けず嫌いのデュースとグリムは悔しそうだった。

深夜になったころ。部屋を暗くして夜月は机のランプだけをつけていた。グリムはすでに眠っている。あの2人ももう寝ただろう。夜月はランプを消して自分もそろそろ寝ようと椅子を引いた。その時、コンコンと控えめに扉がノックされた。何だろうと思い扉を開けると、そこにはむっとした顔で枕を持ったエースが立っていた。


「エース? どうしたの?」
「ここで寝かせて」
「え?」


掃除をしたのに、なぜ。夜月は目を丸くして尋ねた。するとどうやらデュースの寝言がうるさくて眠れないらしい。「寝言でずっとヒヨコが〜って、煩いのなんの」はぁとため息をつくエースに夜月は苦笑した。デュースにとって、あの事実は相当な衝撃を受けているみたいだ。


「なあ、頼むよ〜」
「う、うーん・・・・・・」
「昨日だって邪魔しなかっただろ。な、な?」
「・・・・・・仕方ないなぁ」


夜月はそういって扉を開けエースを招き入れる。「よっし!」エースはガッツポーズをとると遠慮なしにベッドへと一直線に向かい、真ん中に置かれた夜月の枕を横にずらして自分が持ってきた枕を横に並べた。扉を閉め、夜月は横になったエースの隣に身体をすべらせる。お互い背中を向けあって横になる中、隣から体温を感じて、友達同士ってこういう風にお泊りするのかな、なんて思う。


「は?」
「え?」


隣から素っ頓狂な声を上げられ、夜月も思わず後ろを振り返って声をこぼした。エースもこちらに首を振り向きながら目を丸くしていた。


「え、なに。お前ってダチと泊まったこととかねーの?」
「あ、う、うん」


どうやら声に出てたらしい。頷いた夜月を見てエースは少し黙った後、身体をこちらに向けるように寝返りを打った。夜月もそれを見て慌てて向かい合うように体の向きを変える。エースと向き合うように並んで横になった。


「お前って友達いなかったの?」
「うーん・・・・・・こういうことする友達はいなかったかな」
「ふーん」


昔を思い出すように言う夜月。エースは特に何も聞くことはなく、軽く相槌を打つ。それからニッと笑って「んじゃあ、ボッチのお前にオレたちがいろいろ教えてやるよ」と悪い顔をして言う。「いろいろって?」聞き返すヨヅキに「友達同士の遊び」と答える。

「ともだちどうし・・・・・・」夜月はエースの言葉を繰り返した後、嬉しそうに頬を緩ませた。今までこんな風な友人はいなかった。そしてこちらの世界でできた初めての友達。嬉しくてたまらなかった。


「ありがとう、エース」
「どーいたしまして。ふあ・・・・・・もう寝よーぜ・・・・・・」
「そうだね、おやすみなさい」
「おやすみ〜・・・・・・」


エースは寝返りをうってまた背を向ける。隣からはすぐに寝息が聞こえて、もう寝てしまったのだろう。明日も早い。明日はパーティがあるのだ、遅れないように寝なくては。夜月は胸に嬉しい気持ちを抱きながら、瞼を下ろす。