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VIII


鏡の間のゲートをくぐる。目の前には鬱蒼とした森が広がっていた。夜ということもあって、あたりはひどく暗かった。ドワーフ鉱山は一昔前まで魔法石の採掘で栄えていたらしい。


「あ、奥に家があるよ」
「お、本当だ。話聞きに行ってみよーぜ」
「でも、人は住んでなさそう」


森の奥にある家に向かって4人は歩き出す。ノックをして入ってみると、やはりすでに空き家と化していた。家の中は荒れ放題で、クモの巣やほこりもひどい。机や椅子は普通のものより小さく、子供用なのかもしれない。それが7つもあった。

此処に留まっても仕方がない。魔法石があるとすれば、炭鉱のなかだ。エースの言葉に従い、4人は家を出て炭鉱へと向かった。明かりもなく、真っ暗な洞窟だった。ドワーフ鉱山内部に入ると、ここにもゴーストが住み着いていた。


「いちいち構ってたらキリがない、先に急ぐぞ」
「偉そうに命令しないでほしーんだけど」


何かと指示を出そうと仕切るデュースに、エースは不満げに言った。「お前があんな馬鹿な真似しなきゃ、こんなことになんなかったのに」ブツブツと文句を垂れ流す。「もとはと言えばお前が掃除をさぼったのが原因だろう!」デュースはもっともなことを言う。「それを言ったら、像を燃やしたのはそこの毛玉だぜ!」エースはグリムを指さす。「オマエがオレ様を馬鹿にしたのが悪いんだゾ!」グリムも向きになって言い返す。「待って、此処で言い合っても仕方がないでしょう」これ以上悪化しないようにと夜月が止めにかかる。


「わかってるのか、朝までに魔法石を持って帰らなければ退学なんだぞ!」
「だ〜から、さっきからいちいち仕切んなよ。ムカつくなあ」
「ほら、みんな落ち着こう?」


2人の間に入って、どうどうと落ち着かせる。
すると、洞窟の奥から何かうめくような低い声がした。4人ともそれに気づき、おびえた様子で洞窟の奥を見詰めた。「な、なに・・・・・・?」夜月が問う。「なんか・・・・・・だんだん近づいて・・・・・・」奥からする声は、だんだんと大きくなっていった。


「イジハ・・・・・・オデノモノダアアアオオオオ!!!」


洞窟の奥から出てきたのは、顔のない大きな怪物だった。


「なんだあのヤバイの!?」
「ねぇ、大丈夫なの!?」
「めっちゃエグい! でもアイツ、石がどうとか言ってなかった!?」
「えぇっ!?」


怪物は石は渡さないと言い放った。それは、石が此処に存在するという証明だ。デュースは一人でも石を取りに行くと言う。3人は止めたが、どうしても退学は避けなければいけないと言い放ち、一人で立ち向かう。
ほっとくわけにもいかずエースも加わって攻撃し、グリムも炎で応戦するが、相手に効いている様子はない。そのとき、坑道の奥で何かが光った。


「あれ、魔法石じゃない?」
「なに!?」


夜月の言葉にデュースは視線を向ける。それは確かに魔法石だった。顔のない怪物はさらに大きな声で叫びだす。ひとまず4人は此処から逃げようと洞窟を駆け抜けて外へと向かった。