×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -






01.5


一度ベッドに入って眠りについたものの、目が覚めてしまい、眠れそうもなかった。起き上がると、傍らにはグリムが丸くなって眠っていた。夜月はベッドからそっと降り、毛布を羽織って外の空気を吸いに出た。

外へと出れば冷たい空気が吹き付ける。ほっと息を吐けば、息は真白に染まった。寒くなってきたなあと感じていると、見知った声が降ってきた。


「おや、こんな夜更けに散歩か?」
「あっ、ツノ太郎!」


ツノ太郎を見つけ、夜月は嬉しそうにぱあっと笑った。

あれ以来、ツノ太郎とは夜の散歩で頻繁に会うことが多くなり、そのたびに長々とお話をしていた。今ではそれが一日の最後の楽しみであり、最近は毎夜交流を重ねていた。


「また今日も来ると思って。やっぱり来てくれた」
「僕を待つなど、本当にお前は変わっているな」


ツノ太郎はそういう反面、嬉しそうに口端を上げて微笑んでいた。
いつものようにオンボロ寮の近くにあるベンチに2人並んで腰を掛け、毎夜のお話をする。


「明日が秋学期最後の学校だね」
「ああ、そうだな。もうホリデーが来たのか」


早いな、と言うようにツノ太郎は呟く。「ツノ太郎もホリデーには実家に帰るの?」と聞けば「ああ」とツノ太郎は頷く。やはりほとんどの生徒が実家に帰るらしい。「そっか。そうだよね・・・・・・」笑って言っているが、少し寂しそうな表情をしていた。


「やっぱり、寂しいな・・・・・・」
「・・・・・・お前は帰らないのか?」


ツノ太郎の問いかけに、夜月は困ったように微笑んだ。「うん、私は学園に残るんだ」夜月の言葉にツノ太郎は「そうか」と短くうなずく。

「此処に来てからずっと誰かと一緒にいたから、ちょっと寂しく思っちゃって」困っちゃうね、と誤魔化すように夜月は眉尻を下げて笑う。こちらの世界に来て、入学式以来ずっとエースやデュースとは一緒にいた。そこから交流を広げ、周りには多くの人がいた。そんな彼らもホリデーの間は実家に帰ってしまう。毎日が楽しく、つい寂しく感じてしまっていた。

そんな夜月を横目に、ツノ太郎は少し考える素振りをした。


「でもグリムも一緒にいるから大丈夫だよ。オンボロ寮にはゴーストもいて、賑やかなんだよ」


ニコリと笑って言う夜月をツノ太郎はしばらくじっと見つめた。じっと見つめてくることに不思議に思いながら見つめ返していると、フッと笑って優しい手つきで頭を撫でられた。


「なに、ホリデーなどすぐに終わる。少しの辛抱だ」
「・・・・・・うん、そうだね!」
「ああ、その意気だ」


「ホリデー帰りに土産でも贈ってやろう」頭から手を離し、ツノ太郎はそう言って微笑む。「ほんと? 楽しみにしてるよ」夜月は目を輝かせ嬉しそうに笑った。それにつられてツノ太郎も目元をやわらげた。


「さて、ではそろそろ戻ろう。それ以上は身体を冷やす」
「そうだね。それじゃあまたね、おやすみツノ太郎」
「ああ。おやすみ、人の子」