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「うぅ・・・・・・疲れた・・・・・・もう一歩も歩けねぇんだゾ・・・・・・」ようやく部屋に戻ってこれて、グリムは疲れ果ててベッドに倒れこんだ。このままじゃ寮生たちが暴動を起こすのも時間の問題だ。「なんとかして脱出しないと」放っておくのも忍びないが、これ以上面倒ごとに巻き込まれるのはごめんだ。
「オレ様だってもう限界なんだゾ! こんな牢獄には1秒たりともいたくねぇ」
「疲れてるし、もう眠いけど・・・・・・今夜こそこのスプーンで床に穴をあけてやるんだゾ!」グリムの宣言通り、2人は再び交代で床に穴を掘る作業に勤しんだ。
□ ■ □
「ヨヅキ、オイ、ヨヅキ・・・・・・!!」
「ん・・・・・・グリム?」
「見ろ。ついに、床に穴をあけることができたんだゾ!」グリムに振り向き、開けた穴を覗き込む。「頭が通ればだいたい穴は通れるって相場が決まってるんだゾ」なんとも動物らしい理論だ。というか、猫の考えかも。「オレ様が先に出て引っ張ってやる。よぉし、脱出作戦開始なんだゾ!」
まずグリムが穴から抜け出し、グリムの助けを借りながら夜月も部屋を抜け出す。やっとのことで穴から部屋を抜け出すことができた。「ふぅ・・・・・・やっと部屋の外に出られたんだゾ」廊下を見渡すグリムの一方、夜月はゲッソリとしていた。「つ、つかれた・・・・・・」絞り出される感覚って、きっとこんな感じなんだろう。自分が食料になった気分だ。「今のうちにオンボロ寮へ戻るんだゾ。音を立てないように・・・・・・」そーっと足を忍ばせると、グリムのお腹の音が盛大になりだした。
「ふなっ!? し、しまったんだゾ。穴掘りを頑張りすぎたせいで腹が減って・・・・・・」廊下に響いた音にバタバタと数人の音が近づいてくる。「あわわ・・・・・・や、やべぇんだゾ」それに慌てるグリムと夜月。「早く移動しなきゃ・・・・・・!」此処に居てはすぐに掴まってしまう。
「お前たち、そこでなにをしている!」
「っ!!」
「ふぎゃっ、見つかっちまった!」
「鍵はしっかり閉めたはずなのにどうやって外へ!?」「あーっ! 床に穴が・・・・・・!」「脱走者だ! 追えーー!」見張りの寮生たちが一斉に#夜月たちを追いかけて売る。「捕まったらまた牢獄生活へ逆戻りなんだゾ。逃げろっ!」グリムと夜月は全力で走り出し、寮生たちから逃げる。
「とりあえず適当な部屋に入ってやり過ごすんだゾ!」
「あの部屋にひとまず隠れよう!」
目に入った部屋に入り、息をひそめる。「どこへ行った? 手分けして見つけ出せ!」「出てこい、ドブネズミどもめ!」扉の向こうの声に耳を澄ませ、何とかこの場をやり過ごす。足音が遠のいていき、2人はほっと胸を撫でおろした。
「ふぅ・・・・・・行ったみてぇだな」ほっと息をついたグリムが言った。「でも、この調子じゃ見つかるのも時間の問題かも。寮から出ないと」夜月はなんとか逃げ出す方法を考える。「くそぉ・・・・・・なんとか逃げ切る方法はねぇのか?」
「にしても、此処はなんの部屋だ? 真っ暗でなんも見えねぇんだゾ」
「適当に駆け込んだからなあ・・・・・・」
「ン? なんかフサフサしたもんが顔に・・・・・・ふひゃ! くすぐってぇ!」
「ヨヅキ、スマホで照らしてくれ」ポケットからスマホを出してライトをつけると、魔法の絨毯がグリムをつついていた。「どわ〜・・・・・・ッ!」大声を出したグリムにシーッ!と指を立てる。「びっくりした! 大声出しちまうところだったじゃねーか!」魔法の絨毯があるってことは、この部屋はカリムの宝物庫だ。「そうだ! オマエがいれば、見張りを振り切って外に出られるかも!」
「やい、絨毯。オマエをここから出してやる。だからオレ様たちを寮の外まで連れていくんだゾ!」
絨毯はコクコクと頷く。グリムはさっそく絨毯の上に乗る。これで逃げ出せればいいが、人のものを、しかも家宝を持ち出すのは気が引ける。しかしそうもいっていられない状況だ。絨毯は後日に返すことにしよう。
「よし、ヨヅキ。絨毯の上に乗り込むんだゾ! スカラビアにオサラバだ!」
■ □ ■
絨毯はあっという間に部屋から飛び出し空へを舞いあがった。「ヒャッホーウ! やったー! 脱出成功なんだゾ!」簡単にスカラビアから脱出できそうで少しほっとする。「オレ様たちは自由なんだゾ〜〜!!」グリムは勝ち誇ったように喜ぶ。「へへーん! 悔しかったらここまでおいでってんだゾ!」下に目を向ければ、空の2人に気づいて寮生たちがなんとか追っていた。
「そういえば、これの操縦ってどうやるの?」
「操縦? えーっと、カリムは隅っこについてるフサを掴んで引っ張てたような・・・・・・えいや!」
グリムがそれを引っ張った瞬間、絨毯は暴れ出した。「うわあっ!?」なんとか絨毯にしがみつき、落ちないようにする。「急に回転しだしたんだゾ! コラッ! いうこと聞くんだゾ!」再びグリムが引っ張ると絨毯はさらに暴れ出した。「ギャー目が回る〜〜!! 止まれ、止まるんだゾ〜〜!!」暴れ出す絨毯はあっという間に鏡を通り抜けてスカラビアから抜け出す。
「うわあああ〜〜鏡にぶつかる〜〜〜!!!」
鏡に突っ込む絨毯に、グリムと夜月は固く目をつむった。