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10


「それでは、ゆっくりとお休みください」スカラビアの空き部屋に案内されたグリムと夜月。スカラビア寮生は一言を残してパタリと扉を閉めた。
「も〜〜っ!! やめとけって言ったのに!」グリムは目を吊り上げて怒る。「ヨヅキ、オメーはなんでそう厄介ごとに首を突っ込むんだゾ!」


「スカラビアの問題なんだ。自分たちの問題は自分でカタをつけろってんだ」
「ごめん・・・・・・断るつもりだったんだけど・・・・・・」
「ったく。オメーはなんだかんだ流されやすいし、お人好しなところがあるからな〜」


「たまに急に怖い時もあるけど・・・・・・」ボソ、とグリムは呟いた。おかしい、確かに断ろうとしたのに。「とにかく、オレ様はもう面倒ごとに巻き込まれるのはまっぴらゴメンなんだゾ」


「今のうちにこっそり抜け出してオンボロ寮に戻ろうぜ!」


2人はスカラビアから抜け出すことにし、ゆっくりと扉を開けて廊下を伺った。「だれも、いなそうだね」廊下は静まり返っており、誰もいない。「よし、まずは学園に繋がる鏡のところへ・・・・・・」さっそく抜け出そうとグリムが廊下に出た瞬間、ピーと言う警報のような音が廊下に響いた。「にゃ、にゃんだぁ!? この音は!?」

「お前たち! 勝手に寮外へ出ようとすると何事だ!」「冬休みの間は、誰であろうと寮長の許しなしに寮を出ることは許されない!」「ひっとらえろ!」音に引き付けられた寮生たちが2人を見つけ、捕まえようと追いかけてくる。さっきの宴の時と対応が違い過ぎる。


「追え追え! 待てーー!!」
「なにぃ〜〜っ!?」
「なんで追われなきゃいけないのっ!?」



■ □ ■



結局、あっさりと捕まった2人は再びの部屋に戻された。「大人しくお縄につけ、灰色のドブネズミめ!」「さっさと部屋に入れ! 手こずらせやがって」「いでで! 首根っこ掴んで引き摺るんじゃねぇんだゾ!」首根っこを掴んでグリムを部屋に放り投げ「痛ッ、わっ!?」続けて夜月も雑に背中を押して部屋に押し返す。「次抜け出そうとしたら、タダじゃおかないからな!」バタン、と閉めた後に寮生たちは部屋に鍵をかけた。


「こらーーっ、出せ〜〜!」


ドンドンとグリムが扉を叩く。楽園が牢獄に早変わりだ。これじゃあまるで囚人と同じだ。「あっ、そうだ。夜月、学園長にもらったスマホ? でアイツにスカラビアのことチクってやるんだゾ!」グリムに言われ、ポケットからスマホを出して元々は言っていたクロウリーへ電話をかける。スマホをベッドに置き、グリムがその前に座り込んだ。


『はい、クロウリーです』
「オイ、学園長! オメーがいない間にこっちは大変なことになってんだゾ!」


『現在南の島でバカンス中・・・・・・ゴホン! 重要任務中につき、スマホの電源を切っております。ご用件の方はピーっという音の後にメッセージを。気が向いたら折り返します。私優しいので』そしてピー、という音が流れた。「コラアアア!!! オマエ、今バカンスって言ったんだゾ!?」こんなことだろうとは思っていた。夜月ははぁ・・・・・・と深いため息を落とす。


「とりあえず、エースとデュースにでも連絡しとくんだゾ。アイツらじゃ、なんの役にも立たなそうだけど・・・・・・」
「そうだね。エースとデュースにはせめて連絡しとこう」


最初の連絡がまさかこうなるとは。エースとデュースそれぞれに「スカラビアに監禁されてる!」と簡潔なメッセージを送り、今夜は逃げ出すこと諦めて眠ることにした。