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君だけを愛と呼ぼうか



――――退屈だった。

――――この世界に色は無い。白と黒で構成された、灰色の世界。
――――つまらない日々が、ただただ過ぎ去っていくのを見つめる。
――――此処にあるのは、虚無だけ。

――――虚空だけが、其処にあった。



私は、いつも一人だった。

自分と同い年ぐらいの子どもたちは、いつも楽しそうに声を上げて外で走り回っている。それを横目に、私は室内で子供には難しすぎる分厚い本を読んでいた。

アルビノという障害を持った私は日差しに弱く、日中は外に出ることはできない。外で遊べないこと、周りとは一風変わった容姿に、子どもたちは私を遠巻きにした。

遠巻きにした理由は、それだけじゃない。

子どもにしては、大人びていた。子どもにしては、周りより遥かに頭が良かった。最初こそ大人たちは天才児だと讃えたが、それが域を超えすぎると、異質なものを見るように迫害した。これは人間の自己防衛による行動だ、気にすることは無い。

あらゆるものが、つまらなかった。
あらゆるものが、簡単だった。

此処印は何もない。ここにはなにも無かった。くすんだ灰色の世界。輝くものも、色づいたものも、なにも無い。ここには虚無だけが存在する。そんな、白と黒で構成された世界を、ただただ流れていくのを、見つめていた。

これから先、永く続いて行く人生。永いながい人生を、私はこの色のない世界で生きていくのだろう。つまらない、なにも無い世界で、私だけが取り残されて、生きていくのだろう。

なんてつまらない。なんて退屈だ。
いったい、このつまらない世界は、いつ終わってくれるのだろうか。

そんなある日、一人の少年がわたしの前に立った。

少年はニコニコした笑顔を浮かべて、分厚い本を読む私を見下ろしている。その瞳は輝いていて、曇ることのない、純粋無垢な眼差しだった。人の悪意なんて知らない、無邪気な子供だった。


「なあ。おまえ、いつもひとりなのか?」


少年は首を傾げて、無邪気に聞く。それに返答はない。黙って無垢な少年を見上げた。応えないことに疑問に思いながら、少年は人懐っこい笑みを二ッと浮かべた。


「おれ、月永レオ! おまえは?」


根気よく、少年は話しかける。

なぜ構う。鬱陶しい。少年に対して、不快感を醸し出す。少年から視線を外し、再び床に置いて読んでいた本に視線を移す。これで諦めるだろう、と思った。だが、初めて予想が外れた。少年は腕を掴んで、グイッとどこかへ連れ出そうと強引に腕を引っ張る。

強引にわたしを引っ張る少年は、太陽みたいに、照らすような笑顔を向けていた。驚きと、戸惑いを混ぜた瞳で見上げていれば、少年はニッと笑みを浮かべる。


「いっしょにあそぼうっ!」


この世界で、君だけが色づいていた――――。


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