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永遠にひとり



――――ひどく退屈だった。

――――「退屈は人を殺す」と、誰かが言った。
――――ならば私は既にヒトとして死んでいるのだろうか。
――――もしくは、ヒトですらないから未だ生きているのか。

――――答えは間違いなく、後者なのだろう。



この春、夜月とレオは私立夢ノ咲学院に入学した。レオはアイドル科へ、夜月は新設されるプロデュース科のテストケースとして。

夢ノ咲学院にはさまざまな学科が存在する。中でも有名なのがアイドル科であり、設備もそろっており、アイドル科は一般の校舎とは別の校舎を割り当てられている。警備もいきわたっているため、アイドル科の校舎に入るには、アイドル科もしくは新設されるプロデュース科所属の生徒証がなければ入れない。流石アイドル科といったところだ。


新設プロデュース科のテストケースであり唯一の女子生徒である夜月は、学院の注目の的だった。その他にも、夜月の容姿には人の眼を惹きつけるものがあり、視線を集めてしまうのは当然のことだった。
だが何処へ行っても注目されてしまうため、夜月にとっては迷惑極まりない。


「あ、また本読んでる! そんなんじゃ友達出来ないぞー」

「いままで友人なんていたことが無いからなぁ。特に必要ないよ」


こちらを指さしてやってくるのは、幼馴染のレオ。運がいいことに、クラス分けは同じだった。
レオはいつも夜月と一緒にいる。これも夜月が注目を集めてしまう要因の一つだ。いつも一人でいる夜月を気にかけているのか、友人もすでに多いのに、レオは夜月から離れようとしない。そうはいっても、中学からこうなのだが。


「別に、私を気にして一緒に居なくていいんだよレオ」

「ん? おれはお前といたいからいるだけだぞ。おまえは面白いからな! あはは!」

「そうかい、それなら結構」


そんなことをしていると、校舎に予鈴が響く。それを合図に会話は終わり、レオやほかの生徒たちも席に着き、授業に入る。アイドル科と言っても、学生であるため勉学はもちろんある。その他にも芸能界らしい授業も。
けれど、どれもつまらない。夜月にとって、それらすべては何の意味もなさない。

――退屈だ。

同じ言葉が頭の中を何度も駆け巡る。
しかし仕方がない。この世界は酷く退屈だ。けれど人生というものは続いていく。

この退屈な世界で、永い人生を、どう暇をつぶしていこうか。
それだけを、考えている。


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