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30


クリスマスの食事は豪勢だった。それに圧倒されて、ハリーやロンは書き込むようにご馳走を口に入れていく。ディーアも目を輝かせて食べていた。食べるのが男のこと比べて遅いため、両隣にいた双子がせっせとディーアのお皿にご馳走を載せたせいで、ディーアのお皿はご馳走の山を作ることになった。

ご馳走が終わると、フレッドが言った通り、魔法有りの雪合戦大会が開かれた。さっそく貰った防寒具をつけて参加した。白熱して夢中に遊んでいたら、いつの間にかびしょ濡れになって、急いで寮へと戻った。

さっさと乾いた服に着替えて、暖炉の前で押し蔵まんじゅうのようにギュウギュウになって身体を温めた。

それから、ハリーのプレゼントについて聞いた。差出人は不明だが、父親から預かったという透明マントを見せてくれた。羽織ると本当に透明になってしまい、ロンが言うには魔法界でも珍しい代物らしい。ハリーはそれをみんなには内緒だと言って、話してくれた。


目まぐるしい一日で、とても楽しい一日だった。

あっという間に夜になって、それぞれ部屋に戻ってベッドに潜り込んだ。楽しさが消えず興奮しきってすぐには眠れそうになかったが、身体はそれなりに疲れたらしくて、じっとしていれば眠れそうな予感もした。

ディーアは良い気分のまま、瞼を下ろした。


そうして数十分、数時間たったかもしれない。女子寮の外から名前を呼ぶ声がして、目が覚めた。よく聞いてみると、ハリーとロンの声だ。眠い目をこすりながら起き上がり、ガウンを羽織って階段を下りた。


「どうしたの・・・・・・?」

「来て、ふたりに見せたいものがあるんだ!」


少し興奮気味のハリーはそう言って、駆け足で寮を出た。ロンとディーアはその後を追い、ハリーの透明マントを一緒に羽織って夜の学校を歩く。ハリーに連れられるまま歩いていくと、ある部屋にたどり着く。

部屋に入ってマントを取り去ると、ハリーは足早に大きな姿見の前に立って二人を手招いた。


「これ、鏡・・・・・・?」

「来て! そこに立って。見えるだろう、これが・・・・・・」

「すっげぇ!」


ロンを鏡の前に立たせて、ハリーは鏡に映る何かを説明しようとした。だが、ロンは鏡に映った自分の姿に感動した。

ロンが言うには、少し年上の自分がクィディッチで優勝して、首席になっている姿が見えたという。しかしハリーには、自分の母親と父親の姿が見えたという。二人そろって、見えている者が違った。

不思議に思って、ふと鏡を見上げた。すると鏡の枠に字が掘られていた。鏡文字だ。ゆっくりと反対から読んでいくと『わたしは あなたの かお ではなく あなたの こころの のぞみ をうつす』と彫られていた。

つまり、そういうことなのだ。


「ハリー! これ、未来を見せる鏡なのか?」

「・・・・・・まさか。パパたちはもう死んでる」

「・・・・・・」


ハリーは肩を落とし、落胆した。

「君も立ってみるかい?」ロンはディーアに振り向いて、そう言った。ディーアは首を横に振る。一体何が映し出されるのか、自分でも怖かった。ハリーと同じ、両親の姿かもしれない。両親の顔は見たい。けど、なんだか知ってしまったら怖いと思ってしまった。


「ハリー、ロン、もう帰ろう?」

「・・・・・・うん」


ハリーは声を落として、うつ向きながら頷く。ハリーは名残惜しそうに何度も鏡に振り返るのを繰り返す。そんなハリーを連れて、三人はマントを羽織ってきた道を戻った。

その日から、ハリーは何度も何度も鏡へと通った。上の空でいることが多くなり、悪夢を見るようになる。そしてあるとき、ダンブルドアに鏡を二度と探さないようにと説得され、ハリーは透明マントをトランクの底にしまい込んだ。

以降、ハリーは二度と鏡へと向かわなかった。