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一夜が明け、太陽が昇り朝が来た。
その日もディーアはカルナに起こされ、時計は丁度九時を指す頃。
もぞもぞとベッドから出てきたディーアに、カルナはそっと紅茶の入ったティーカップを差し出した。


「お前の真似をして淹れてみたんだが……」


それを受け取り、カップを口元に持って行く。
ふわっと香るこの匂いはダージリンだ。口にそれを含む。丁度いい温度、丁度いい苦さだ。


「美味しい。ありがとう、カルナ」


そう言うとカルナは少し嬉しそうに顔を綻ばせ、いつものように「そうか」と応えた。


「お前の好きなミルクティーを淹れられれば良かったんだが、生憎、ミルクの量が分からなくてな」

「あぁ、それじゃぁ今度、一緒に淹れてみようか」

「あぁ、頼む」


些細な約束をして、また紅茶を一口飲んだ。
身体に紅茶が流れていき、体の芯からポカポカと温まる。今は冬だ。この暖かさがとても心地いい。

ほっと息を吐き、飲み終えたティーカップを近くの机に置く。


「それにしても、睡眠時間が短くて困るわ。マスターは一体、いつ寝ているのやら……」


此処の聖杯戦争では、一般人の被害と目撃を避けるために、夜に行動を起こすことが基本とされている。
そのため日が落ちてから日が昇るまでの範囲だ。そうなると、眠る時間がない。


「そうだな。このままでは、少なからずお前の体調に関わることになるだろう」

「それに関しては平気だと思うけど、睡眠時間はもう少し欲しいところね」


ディーアはカルナの横を通り過ぎ、壁際に置いている折り畳み式のパーテーションの裏側に姿を消した。
そこで仕切られているため、お互いを見ることはできない。その利点を生かし、ディーアは何の躊躇もなく着替え始める。
カルナも特に気にした様子はなく、そのまま会話が続けられる。


「そういえば、聖堂教会から伝令が来たわ」

「内容は?」

「一時休戦をしてキャスターを討て、ですって。どうやら、ここ最近で騒がれてる殺人事件の犯人がキャスターのマスターらしくてね。報酬は令呪一つ」

「令呪か。マスターは欲しがるだろうな」


ディーアは「そうね」とクスクス笑った。


「特に、扱いにくいバーサーカーとアーチャー……ギルガメッシュのマスターと、無駄に一つ消費したランサーのマスターには良い話かもね」


「それから、意外なことに私たちの殲滅伝令は来てないのよ」と付け足すディーア。

聖堂教会は、もしかしたら使えるかもしれないと放っておいているのかもしれない。何にせよ、警戒されていることに変わりはない。
それにたとえ殲滅が命令されても、ステータスも宝具も規格外のカルナが負けることなど、まずない。あったら自分のせいだと言わんばかりだ。

着替え終えたディーアはパーテーションから出てくる。


「ディーア、今日の予定は何かあるのか?」

「そうね……取り敢えず、ウェイバーのところへ行きましょうか」


カルナは少し首を傾げる。それにライダーのマスターだと伝える。
街中から拠点を探すのは、そう難しくもない。何せ、近くにサーヴァントもいるのだ。

ディーアは早々に準備を始め、ウェイバーとライダーもとへ向かった。



モーニング・ティータイム

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